【w.r.w.r.d】甘々【短編集】

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・rb「........Aさん？まだおったんか。｣
終わらない仕事に溜息をついていれば、廊下から先に仕事が終わったであろう複数の楽しそうな声が聞こえてきます。羨ましい、と廊下に繋がるドアを見ていると、既にどこのフロアの電気も消えているのにこのフロアだけ電気が点いている事に疑問を思ったのだろう彼が顔を覗かせます。まだ仕事が残ってるんだ、と苦笑いしながらバイバイと手を振れば、彼は少し考えた素振りを見せた後、直ぐ後ろにいるのであろう友人達に「すまん。やっぱ今日の飲み会、無しで頼むわ。｣と話しています。ニヤニヤとした笑みを浮かべ頑張れよ、と帰ってった友人達に彼は「うるさいわ！」っと頬を赤くしドアを閉めます。不思議そうに一連のやり取りを見ていた貴女は行かなくていいのか、と尋ねれば「いいんや。アイツらの事よりAさんをこんな夜遅くに1人で帰す訳には行かんやろ。」と彼は照れてるのか最後の方は小声になりながらそう告げます。此方まで照れながらお礼を言えば、彼は安心したように微笑みました。

・em「おや、こんな時間まで残っていらっしゃるなんて珍しいですね。」
帰ろうと思った矢先にクライアントから修正依頼が掛かってしまった貴女。無慈悲に帰っていく同僚達を見送り、終わりが見えない仕事に泣きだしそうになれば柔らかな声が聞こえます。その泣きそうな表情のまま声のする方向へ顔を向ければ彼は焦ったように「何かあったんですか？」と駆け寄ってきてくれます。事情を話せば「なら、私にも手伝わせてください。」と優しい笑顔を浮かべて手伝ってくれます。申し訳無く思いつつも素直に彼に甘え、彼と2人で取り組んでも結構な時間を要してしまいました。終わり次第、彼に迷惑をかけてごめんなさい、と眉を下げ謝れば、「謝らないてください。......Aさんは頑張り屋さんやから、もっと頼っていいんですよ。」と。求めていた言葉を言ってくれる彼にまた泣きそうになっては彼がまた慌て始めるので涙の代わりにふっ、と笑みが零れました。





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