過去の君へ【佐野玲於】 (ページ12)

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友達以上ページ12

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わたしたちはただの幼馴染み、
うん、そう。

自分にそう言い聞かせた、さっきまで玲於くんと一緒に呑んでたもん、喋ってたもん

大切な友達以上の何者でもない、学生時代の頃は彼氏より大切だったし、玲於くんもきっとそうだっただろう、なんて。

また、学生時代の事が蘇ってくる。

玲於くんは、学校来たって言ってもほとんど授業聞いてなかった、寝てるか、アームスイングっていうやつ、練習してた。あとは、腕とか手首とか動かして、わたしはよく分からなかったけど、クランプが大好きなんだっていうのはとても伝わった。

運良く、玲於くんの席は真横で窓側1番後ろっていう少女漫画でありふれた様なポジション。

年間で席替えをしない先生で、ずっと一緒だった。だから余計に、玲於くんが学校に来ないと寂しかったのかもしれない。

休み時間、基本寝てたんだけどね。まあ、夜中までダンスしてたら疲れるもんね。

女の子たちに話しかけられても興味なさそうにしてた。好きな子には照れてるくせにって。

「玲於くんの好きな子って…」

『…は？なんでそうなんの』

って言いながらぜんぶ顔に出る、クリーンヒット。
まあ、玲於くんが好きな子は確かに可愛くて、気遣いのできる子だった。女のわたしでも尊敬できる、謙虚な子だった。

『ねえ、A』

授業中、そう不意に呼んでくる。

それが何気に嬉しかった。

「なに、恋愛相談？」

『べ、べつにちげーし』

「絶対そうだ、ぜんぶ分かるもん」

『ぜってー言わねえから』

『危ない橋は渡らねえ、』

「この際渡っちゃおうよ、危ない橋」

『まあ、付き合ったところで忙しいんだよなぁ、デートとか、そういうやつたまにしかできねえし』

こうやって自然と恋愛相談になってく、玲於くんはほんとに単純だったんだ。

結局は、向こうから告白されて玲於くんは付き合った。て事でわたしも文字通り、過去に告白された子と付き合う。

私ってなんて最低なんだ

「最近、順調？」

『ん～、まあまあ』

「これは、キス終えた感じですか」

『しちゃ悪いかよ、』

「いや、玲於くんのって、どんな感じなんだろうって思うじゃん、」

『普通思わないから、幼馴染みのなんて』

玲於くんのことが、どこか特別だから、気になるんだよ。

よく耐えたな、過去のわたし。

幼馴染みっていう壁は壊せないっていうか、その壁を壊したら、もう、わたしは玲於くんにとって何者でもなくなる。

それが怖かったんだ。

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