45 ページ45
.
「大丈夫って言いたいんやけど……そうも言えなくて。」
困った顔の僕
泣きそうな顔のたつくん
スマホを受け取ろうとした……その時に捕まれた右手
視線の先にあるのはたつくんの左手
「たつくん？」
「りゅうちゃん……俺……俺……」
.
軽快な音楽が流れ『オフロガワキマシタ』なんて聞こえて完全にお互いでどうしたもんだかって顔を
してしまう。
「空気読めない湯沸かし器でごめん。」
なんて僕が言うとたつくんは大笑いして「さすが！家主に似ている。」なんて言うねん。
「えー、そうかな。」
「タイミングを選ばないから。」
「まぁ、そこは。」
なんて口にしてから握っているたつくんの手に視線を移してからの句は付け加える。
「ヤスがおるやん。」
敢えて言う言葉
「あぁ。」
「ヤスが嬉しそうに言うてたで？」
「あぁ。」
「僕とたつくんは越えたらあかんラインがあるんですよ。風呂行きますね。」
まるで……自分に言い聞かせるかのような言葉は僕なりのけじめみたいなもので、先輩でもあり友達でもあるヤスを裏切れないと言う気持ちが強い。
離れる事のないその手。
「たつくん？」
強く握り
下唇を噛んでいるのがはっきり分かり
僕の体は気が付けばたつくんの腕の中にあり強く……強く抱きしめられていた。
「今だけ。」
「たつ……く……」
「今だけ俺のわがままをさせて。」
弱弱しい声で言う言葉に僕は頷くしか出来なくて小さい声で反応する。
「分かった。」
まじまじと見るたつくんの顔
こんな所にホクロがあるんや
そんな事を思い
こんな所に……
「…………ん。」
重なった唇
あぁ……いつか触れた時とは違う
あの時はなんか事故みたいな感じで……たつくんを感じる事はなかった。
今は？
今は……たつくんを感じる。
額が触れゆっくり言う言葉
それは……告白なのかもしれない。
「りゅうちゃん……好きや……」
「ヤスがいるのは分かっている。」
「でも、伝えたいねん。」
「りゅうちゃん。」
ぎゅっと抱きしめられたその力は僕の思っている以上の力と震えがあった。
僕は……返事が出来へん。
ただ……たつくんの言葉に小さく頷くしか出来へんかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kkoyanagi(プロフ) - は〜い(^^ゞきながに待ってます (11月9日 8時) (
レス) @page50 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬奈 | 作成日時：2023年6月27日 16時
