A-EN (ページ31)

今日:6 hit、昨日:18 hit、合計:11,804 hit

31 ページ31

.

少しだけ日当たりが良くなった庭園

人が往来というより皆が眺めて終わると言う感じ。
その先にあるのは教会で変わることなく存在している。

僕がいた頃もそれなりに新しくきれいな方だったけど、数年前に耐震改修工事が入って更に近代的になっていた。病棟フロアに行くにもエレベーター乗るにも全ては入院時に貸与られるカードがないといけないってどこかのホテル状態。

防犯兼ねてだから仕方ないけど、子供の脱走防止なら僕は生きていけへんな……しみじみ。

日帰りで帰る予定やった。

が、今、ここにおる理由は簡単。

手元に持っているクリアファイルに入っているのは予約表と検査項目。
チェックされ次は診察。

オカンの言うていた『そろそろ』はこの事。

寛解……この言い方は、病気の症状が一時的に軽くなったり、消えたりした状態。
そのまま症状が消えた状態が続き、完全に治る可能性もあるんやけど、再発・再燃する可能性も否定できへん。

少しでもこの状況を継続させるために年1で僕は検査を続けている。

医者から一度寛解の判断は貰ったんやけど、中3の春に症状は現れた。

今度は違う病名で。

中学で好きになった陸上を諦めたのはこのときやった。
退部届を出し、後輩にお土産として今まで使っていた道具を置いて……

病院に戻って来るなんて思いもしなかったけど。

診察結果は良好と医者に告げられ次回の予約の注意点などを改めて聞いてから会計フロアに向かう。

病院を出れば昼もいい時間。

飯食ってから実家に顔出して夕方に帰るか。
なんて思いながら僕は通いなれた道を歩いて行く。

短距離は結果が目に見えて面白かった。
小学校で経験できなかった事を、中学で経験する。
陸上部に入ったのは走ると言う事をしたかったから。体育でなくて部活で経験したかっただけなんやけど、努力したら努力の分だけ目に見えて結果が出るのが楽しかった。

インターハイ予選に参加できたし、体育祭でヒーローにもなれた。

心残りは引退試合になる記録会に参加できなかったのが心残りなんやけど。

高校入学してから陸上は無理やったけど、そこは仕方ない。

この選択は間違いやなかった。

.