Ａ／Ｌ ３

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「お疲れ。」



バイクを車道に置いてそう言うと大橋はぶんぶん手を振って答えた。本日も元気に飲み会って言うんだからアイツの元気は尋常やないって思う。ヘルメットをかぶり眼鏡をしていつも通り跨って家の方に向かって走らせた。







大通りを通ることなく裏道で行くのは酔っ払いに会いたくないのもあるけど、人通りが多いと厄介。事故が起きてから困るし、事故を起こしても困る。




片足を付いて信号を待ちながら人の流れを見ていく。






３０分走らして辿り着くのはマンション、今の俺の住まい。





やっと手に入れた戸建てを売ってまさかの賃貸に逆戻り、色々な仕方ないが積み重なる。
ほんま嫌や。
いつまでもあの仕事では生きていけないのは分かっていたから方向転換をしていこう。そう、考え始めてもいたのに結局はこの街から逃げることが出来ない。







負い目ばっかり見せてくる。








いい思い出があまりにもない







どこで道を踏み外した？




全てが狂ったまんま何年も過ごしている感覚や。









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待ち合わせたのは名前が知られている喫茶店。
ドアを開けて直ぐにいるのが分かる。
スマホを操作。
アイスティーを飲んでいる姿を見れば……記憶の奥底に沈めたアイツを思い出す。




姉妹だから仕草も何もかもしているんやって思うけど。





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「なに、急に。」





そう声をかけると嬉しそうに笑いかけてからスマホをテーブルに置いてから口を開いた。






「用事あるから呼び出したに決まっているでしょ？そもそも、お兄ちゃんに連絡するのに店に電話するってめんどくさいんだけど。」




「仕事のスマホを教えたやん。」




「それじゃ意味ない。全然電話でないんだもん。」




「お前と話すと長いから嫌やねん。」




「酷い。お姉ちゃんとは頻繁に話していたのに？」





傷を抉るような事を言うんよな。






こないだ回忌をして親戚一同集まったから色々思い出話で俺の話題が出たのが分かるんやけどな。
注文をしてからすぐに妹はカバンから茶封筒を俺の前に置いた。







「なにこれ？」





「ママから、お兄ちゃんに渡してって。」






目の前で封を開ければクリアファイルに入った書類。



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