40 ページ40
.
レストランでマルちゃんは教えてくれる。
子供の時から仲良い信ちゃん
小学校で出会ったヤス
中学の時に信ちゃんの紹介で仲良くなった横山くん
狭いコミュニティのように思えるけど、そこには濃い人間関係が構築されている。
.
「……章ちゃんが大学行って就職先が教授推薦で省庁入るって話になった時にみんなで無理って言うたら、それに歯向かうようにがんばっちゃって。」
「負けず嫌いなんやね。」
「その頑張りでメンタル壊したら意味ないって悟った章ちゃんが偉いですよ。僕なんてそのまま流されてずっといそうだし。」
表情をくるくる変化させて飽きさせないのは店と同じできっとこれはマルちゃんの才能なんやって思う。
「信ちゃんは昔から神社継ぐとかそんな感じやったん？」
素朴な疑問を投げるとマルちゃんは数秒考えてから教えてくれた。
「最初は違ったんですよ、信ちゃん。」
「最初は？」
「絵のうまいお兄ちゃん。」
「へぇ……」
「絵画コンクールの入選常連者でそのまま絵の道に進むと思ったら大学卒業と同時にスパッと辞めちゃって。社長の手伝いして、おじいちゃんが神社の方をしていたから二足わらじ。神主の資格は通信教育やっておじいちゃん先生から聞きましたけど、忙しい合間にいつ勉強しておるんやろ？って、章ちゃんと言うてたんですよね。」
才能ある人ってどこで努力しておるか分からん。器用貧乏ってやつよな、ほんまに。
「ゆうちんは吹奏楽でそのまんま音大行って……」
「音大？」
「そう、音大。でも、上には上が死ぬほどおるって言うて信ちゃんと同じように大学卒業と同時にすっぱり辞めて和菓子屋さんで修業していました。」
「奥が深いやん、みんな。」
「そうなんですよね。僕なんていたってフツーだし。」
「フツー？」
「そう。章ちゃんみたいに……こう、フルスロットで就活してへんし、信ちゃんやゆうちんみたいな感じでもないし。」
「そうかな。マルちゃんは大学？専門？」
「僕ですか？」
少し照れた表情でマルちゃんは言う。
「美大です。」
「凄いやん。」
俺がそうきっぱり言うとマルちゃんは「凄くないです。」小声でぼやいた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瀬奈(プロフ) - ショーン様 スピンオフはいつか書きたいと考えてはいます。今回の作品は自分でも書いてい楽しくていつかスピンオフも書けたらいいな・・・と、考えてはいます。 (2022年4月23日 17時) (
レス) id: 070125caaa (このIDを非表示/違反報告)
ショーン(プロフ) - ますます面白い展開にワクワクしてます。出来ることなら個々のスピンオフ読みたいです。出来れば�埒�です。よろしくお願いします。 (2022年4月22日 0時) (レス) @page39 id: 849d9c80b5 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - ショーン様 コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年4月19日 16時) (レス) id: 070125caaa (このIDを非表示/違反報告)
ショーン(プロフ) - もうメッチャ面白いです！楽しみです。 (2022年4月17日 19時) (レス) @page32 id: 849d9c80b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬奈 | 作成日時：2022年3月28日 23時
