15 ページ15
.
ゆゆちゃんを好きになるって……分からへん
「今日もきれいですね。」
バーテンはそう言い、にこにこ顔で褒めてくれる。
忖度一切なしで『その顔で客に出るの』なんて言うくらい毒舌なバーテンがほめてくれるのは嬉しいけどちょっと乗り気でないのはここ数日の予約客。ほんまに苦手な人が連続で来るってほんま嫌やけど、仕事だって言い聞かせての接客はメンタル的に疲れる。出禁レベルの客は店にとっては常連さんだから切るに切れへんとか言われたらがっかりだし、俺以外でも常連さんだから無下には出来へんってやつよな。俺で予約が入ってなければどうでもええって割り切ればええだけ。
「韓国コスメ最強。」
思わずつぶやいた言葉に隣にいたベテランさんが大笑いしちゃうんだから俺って相当この仕事が好きなのか分からなくなっていく。
1人目は何とか終わり、2人目の客は俺を毎回指名する子。
「下着ですか？」
真顔で質問され俺は心の中でフリーズ中。
「どういうのかなって。ほら、胸もちゃんとあるじゃないですか、私寄せてあげてここ。」
……それって貧○と言いたいのか。
「ゆゆはパットを少し入れてる。こっそりだけど触ります？見つかったら怒られちゃうから。」
何て耳打ちしてから何気なく女の子は触ると「凄い。」なんて感動された。女の子の柔らかい胸を目指してブラに縫い付けているんやから俺って何マジになっているんやろ。
「やっぱり下からですかね？」
もしもーし、俺は男ですけど。
「デコルテを見せるなら下からの方をボリュームアップした方が胸は綺麗に見えるっていうでしょ？ゆゆはここの部分を……」
なんで胸の話を熱く語っているのか自分でも分からへんけど、結構この手の相談多い謎な環境。
「なるほど。やっぱりゆゆちゃんに聞くのが一番かも。」
褒められてるってこれも同なんだかわからへん。2時間コースしっかり体についての話をして、本日2つ目の予約が完了した。
まだ予約は続く。
2時間しっかり延長なしの日だから助かったけど、結構なしんどさ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬奈 | 作成日時：2021年3月23日 16時
