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「かわいいものだけには反応すんねん。あ、このネイルチップね。」
ポケットから無造作に出されたネイルチップを見て口元かくして反応する俺って完全に……
「ゆゆちゃんに似合いそうなユニコーンネイル。」
「なにこのバリ可愛さ。」
「そやろ、そやろ。グラデーションもだけど、それぞれにこのゆゆちゃんカラーのピンクをネオンでアレンジしたんよ。」
「最高。」
「大倉もそこそこかわいいの好きやん。」
「……黙れ、これは仕事や。」
「仕事ねぇ。」
疑いの眼差しされるけど、カフェの窓にいる俺とヤスは完全に悪い男に激怒されている。って、感じで笑いそうになる。
「ありがたくいただく。」
「今度店に行きたい。」
「絶対ダメ。」
「なんで?ええやん、きれいな子多いなら僕のアートの感覚が冴えるやろ?」
「ヤス来たらビビって困る。」
「なんで?こんなに真面目な僕を捕まえて。」
「……まず鏡を見てから言え。」
「どこが?友達連れて行くし。」
「ヤスの友達ってヤスみたいな人がいっぱいで誰が話を回収するねん。」
「回収は大変やと思う。あ、でも一番仲いい人は話さないんだよね。」
「話さない?」
「人見知りが凄くてさ。慣れたらものすごく話すんだけど○○賞を取った作家ってこう考えが変なのかな。」
「は?」
「高校生で○○賞を受賞して結構騒ぎになったの覚えてへん?」
「高校時代は絶賛遊びまくってそう言うの分からへん。」
「あ、そうやったな。」
バッサリ斬られたけど、ヤスと同じ高校でもないのにこの答え方ってなんなの?
そもそも、大学の芸術学部で木村先生の後輩。ちょうど先生の下で働きだしたときに卒業の挨拶しに来てその時に仲良くなって学生時代の話も相当しているけどさ、バッサリすぎるやろ?
「その作家先生とどこで会ったん?」
「ご飯食べている時に仲良くなった。
「人類皆友達、僕と握手的に仲良くなったん?」
「違うって。」
ヤスはけらけら笑いながらスマホをテーブルに置いてから言うた。
「ラーメン屋に並んでいる時。」
結局、人類皆友達感覚やん。まぁ、ヤスらしいって言うたらそうなんやけど。
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2021年3月23日 16時