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「どうしようかな……って。」
ぽつりと言う言葉にじっと見てくる丸山先生を見るとやっぱり俺の心の中はしんどいって言葉に埋まる。
「僕の話をしてもいいです？」
突然言う言葉に「はい。」なんて笑顔を向けると嬉しそうに俺を見てくる。
ズキン
何か分からない痛みが一度……俺を襲う。
「僕ね、賞を取る前ってひたすら武道に向き合っていたんです。」
「ぶ、武道？」
「そうそう、あの……極○空手。」
「空手？」
なんて言うと恥ずかしそうに笑って「そう。」なんて言うてから小さく頷いくと先生は続けて教えてくれた。
「こどもの時から親に言われてずっとしていたんですよね。高校入って直ぐに先輩方と喧嘩して。本来、武術は喧嘩に使ってはあかん言われているのに僕は使ってぼこぼこにしたんですよ。」
「痛そう。」
「相手は相当痛かったと思います。でも、僕を守るために喧嘩で使ったんですけど、師範に怒られまして。」
「ケガさせちゃったから？」
「えぇ。」
「じゃあ先生は怒られてどうなったんです？」
「大会に参加できないって話になって、練習も半年禁止とかなって悶々とした時に書くことでストレス発散していて、たまたま読んだ先生が小説大賞の応募してくれて。僕は運がいいんだと思うんですよ。」
恥ずかしそうに言う言葉に俺は道を切り開く人が周りにいるとうまい具合にレールに乗っけてもらえるんやなって感じる。先生は眼鏡のブリッジを上げてから俺を見て言うたん。
「亮ちゃんの仕事は断ってもいいですよ。」
「え……」
「いま、僕の中ではっきりしました。」
「丸山先生？」
「仕事って亮ちゃんの仕事ですよね？」
視線をうまく合わせることが出来なくていると丸山先生は俺の至近距離、隣に座って手を握ってニッコリ笑ってくると、俺は困った顔をするしか出来ない。
「亮ちゃんが言うてたんです。こないだ、僕が助けてあげた人が気になるって言いだして。調べて、見つけたって言うて俺に教えてくれたんです。」
手をぎゅっと握って言う言葉を俺は黙って聞いていく。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2021年3月23日 16時
