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聞こえる……
過去の事を知っている人は何を言っているのか。
きっと、今回の案件も全て俺のせいにされるんちゃうか？
そんな疑心ばかり募るって相当この営業室嫌いだって事よな。
紙コップの珈琲がなくなって、気が付けば終業ベルが聞こえ、パソコンを一度閉じてから俺は事務の席に行くと倉田さんと木村さんが俺を見てきたん。
「内線借りれます？」
意外な言葉やったんやと思う。
木村さんがすぐに電話を俺の方に向けてくれて電話する先は窓口。
「タナカさん、大倉です。……そう、まだ営業室におって。店長してくれてた？」
不思議そうな顔で二人は見てきて俺の会話内容意外やったんやと思う。
「後1時間以内に終わらせて下に行くから。そこから引き継いで俺やるは……あ、ええって。午後ほぼ俺はなんもしてへんやん。」
とりあえずの話を終えてから電話を切ると二人は無言で頭を下げるだけやった。さっさと終わりにせんと、窓口の自分の仕事終わらなくてまた何言われるか分からへん。
営業室におると不安で押しつぶされそうになってやばいヤツよな。
「これ、課長に渡してください。」
ノートパソコンをひとまとめにして事務方のカウンターに置くと倉田さんが「分かりました。」と受け取ってくれた。時計を見れば18時ちょい前。
「じゃあ、失礼します。」
やっと自分の仕事に戻れるって思うた時やった。
いるんだよね、すれ違い様に言う人って。
聞こえた声に俺が振り返るとそこにおったのは……過去をやっぱり知っている人で俺はさっさと営業室から出て窓口に向かった。
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「厄日ですって、主任。」
笑って言うタナカさんの言葉に「だよね。」なんて返事をしてから自分の仕事を終わらせるのに必死になる。残っているのが彼女だけで全て終わらせたタナカさんは後方の席でスマホをいじりながら言うたん。
「でも、営業室って相変わらず陰険で嫌い。」
思わずぶっ放された言葉に俺は「しー。」なんて言うしか出来へん。誰が聞いてるか分からへんやん、ここで窓口と営業室のバトルとか絶対アカンって。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2021年1月18日 20時
