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きっぱり言う言葉に俺はすば るくんに視線を向けた。
「相手がおるおらん関係なしに、読みたければ読む。見たければ見るって言うのが普通やで？確かに隆平がおるけど、女に興味が一切ないわけではないから嗜むことは嗜む。」
「男にしか興味ないでは？」
「それはないな。」
断言されたてっきり、もう女とは関係持たないと思ったんやけどちゃうのか。
「確かに男と関係を持ったから女とはシない！って、わけではないからな。」
「でも、丸山さんにしたらそれは嫌やって思わへん？」
すば るくんは眼鏡をはずして少し考えてから口を開く。
「俺の考えやけどな、隆平と関係を持ってから女とは関係は持ってへん。今の俺が女と関係を持ってどうなるかは未知の世界やねん。隆平以外は出来ない体になっているならそれを受け入れるし、出来るなら……たまにはシたいと思うかもしれん。」
「たまには？それは内緒でなく許可をとってから？」
「そうやん。相手おるのに隠れてしたらバレた時のが大変やんけ。」
「そうよな。」
「許可取りしてからシたらええねん。でも、今は女とシたい気持ちはなくて本やら雑誌やらで満足。隆平のテクニックがええんやな。」
辿り着くのはそこですかい！
「惚気かよ。」
「まぁ、そうなるな。」
思いっきり笑って言われる言葉の後に行動。
キスをする
軽いキス。
今もしてくる。
「なんで？」
俺の疑問にすば るくんは答えない。
あの日が初めてじゃない、すば るくんとキスをしたのは。
------誰にも言うたらあかんで？
初めてキスをしたときに言われたあの言葉を俺は忠実に守り続ける。
君により思ひならひぬ世の中の 人はこれをや恋といふらむ
(あなたによって物思いが習慣になった。世の中の人はこれを恋というのだろうか)
返し
ならはねば世の人ごとに何をかも 恋とは言ふと問ひしわれしも
(そういう習慣はないので世の中の人が何を恋と言うのかとお尋ねした私であるのに、……私がお教えしたとはね)
妙に頭に残った。
読んでいた本に書かれていた昔の和歌ってやつ。
恋を知っている人の言葉と恋を知らない人の言葉
まるで……後者が俺
昔の人って凄いよな、ほんま。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年11月17日 16時
