冬の刻-23 ページ33
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「忠義殿は無事やで。」
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天井からこの場所に光が来るのは月明かりの時のみだと分かったのは虫の音が聞こえる時やった。ここに来てどれくらいの時間が経過しているか僕には分からんくて目の前に人がいるのを確認できた時に言葉が出なくなった。
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「りょう……」
吉野山にいた時より立派な身なりをして僕の前にいる姿。烏帽子までし、どういう状況か理解できないでいるとりょうは小さく笑って言う。
「りゅうと一緒にいたらこんなええ生活出来へんかったよな。」
「なに……言うてん……」
「皇子は俺を雇ってくれたん。」
「なに……バカな事を。」
「バカちゃうで？俺かて１人の人として生きたいねん。りゅうに頼らんで生きて生きたいと思うのかて当たり前やんか。」
「あかん……それは……」
「なに？俺が生きたらあかんのか？」
「ちゃう、そんなんや……」
「嫉妬か？自分はここにおって朽ち果てるしかないもんな。」
自分の意志を完全に持ったりょうは今までため込んでいた思いを僕に投げつけてくる。
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終わりのない苦痛。
人の目を避けて生きていく日々。
凶器に近い言葉。
僕は体中の力が抜けり、彼を……見上げてみるしかできへん。
暗闇の中におるりょうの視線は酷く冷ややかであの時と同じ。
僕を受け入れた最初の村で知った人の目……
僕を殺せと襲ってきた人と同じ目……
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「俺はもうあんたを頼らへん。」
足音だけが聞こえるその場所で僕は叫んだ。
過ちを犯してしまったのかもしれへん。
作ってはいけないものを作った。
寂しさからとんでもないものを作ってしまったと言う後悔が生まれた。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
