キセキ229 ページ24
帰路についた白凪は大きく伸びをして
ポストの中のエアメールを取り出す
父親と栗原豊との縁は切ってあるが
美帆に関しては特に関与されていない
白凪も、美帆が今後成長してどういった対応をするかわからないため
その時は本人の意思に任せようと思う
邪険に扱いたい訳では無い
なにしろ幼い、可愛い妹であることには変わりなかったから
家に居場所がなかった白凪にとって
高校に進学して1人暮しするまでの間、特に中3の頃は美帆に助けられていた部分もあったからだろう
A「まあ、美帆が大きくなる頃には、俺もいい年だわな」
それは少し寂しいけれど、仕方ない
少しずつ
少しずつ
白凪を取り巻く環境は変わった
相変わらず先輩達は家へ来るけれど
以前よりは減った気もする
寂しくないし、見捨てられた訳では無いから心配もしていない
他にも
母親との関係は良好、たまに出掛けたりするほどには回復した
キセキの世代も
今はそれぞれの学校で成すべきことをしているが、たまに(主に黄瀬や黒子)連絡が来ては
他愛もない会話をするくらいには
もう1度関係を築き直していると言えるだろう
多くの間違いを犯したのは白凪だけではない
何が悪で
何が正義か
それはそれぞれで違う
それを決めるのは世間で
どう受け取るかは自分自身だ
取り戻せないものも多くあるだろう
やり直したいこともあるだろう
けれどそれらの後悔を抱えたまま
人は進まなければならない
忘れてはならないのは、同じ過ちを繰り返さないためだ
間違いを正せるチャンスは来ないかもしれない
過ちに気づかないかもしれない
A「(俺のキセキは、多分それ)」
間違いを正すチャンスがあった
過ちを教えられた
救ってくれる人が、時間はかかったが現れた
傷つけた彼らがもう1度歩み寄ってくれた
多分
小さな奇跡の積み重ねなのだろう
この先
また間違えるかもしれない
それでも今の彼は
過去の自分の様にひとりではないから
きっと変わる未来があると信じて
今やれることを
1歩、踏み出すのだ
END.
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作者名:琉月 | 作成日時:2018年8月24日 12時