生活3日目 ページ5
『レトルトさん、これからよろしくお願いします』
「さん付けとか別に要らんけどな。まぁ、初対面でタメでいいよっていうのもおかしいし、慣れたらタメでもええよ」
『ありがとうございます』
やばい、この人本当に良い人だ
恐らく今後一番アパートで頼ることになると思う
『あ、すみません。これつまらないものですがどうぞ』
「マジで?めっちゃ嬉しい!ありがとな!」
『いえ、これからよろしくお願いします』
「なんか困ったらいつでも言ってな」
なら、今いっそのこと聞いてしまおうか
『あの、2つ聞きたいことがあるんですけどいいですか?』
「ええよ、何?」
『103号室の人って、いつ頃帰ってこられるかわかります?』
「あぁ、アブさんね。あの人…うーん、今回いつだろうな。3日前に家出たばっかりだし…早ければ明日とかかな?」
『その…アブさんという方は、何をされてる方なんですか?』
「医者」
『は?』
「外科医」
ちょっと待って
何で医者がこんな学生でも借りれるようなアパートに住んでるんだよ
外科医なら普通にいい給料貰って、一軒家買ってそうだけど
「なーんか、病院に一番近いとこだからっていう理由だってさ」
『えぇ…』
面倒くさがりやなのか、なんというか…
バカと天才は紙一重ってやつか
いや、まだ本人と話してないのにバカというのは失礼だ
よく考えたら、失礼極まりないだろ俺!
「まぁ、あの人は結構何日か連続で病院に寝泊まりすることもあるしな。住んでるうちに一回は会えると思うで」
『わかりました。あと…102号室の人ってどんな人なんですか』
若干声が震えたかもしれない
だって、さっき聞こえた声が紛れもなく、男の声だったから
「あー…もしかして聞いちゃった?」
『え、あ、はい。いや、でも別に偏見とかそういうわけじゃなくて』
「大丈夫やで。隣フジ君って言うんやけど、普通に良い人だから大丈夫やで」
『そ、そうですか…』
「あと、聞きたいこととかなんかない?」
『今のところないです。ありがとうございました』
「いやいや、全然いいんよ!じゃあ、これからよろしくな!」
頭を下げて、レトルトさんの部屋を後にした
自分の部屋に戻り、フローリングに横になる
ここなら、なんとかやっていけそうだな
・
「A君…ねぇ」
前にいた子には、鎖がよく似合っていた
A君には何が似合うのかな
「…あははっはははは」
ここに来たからには楽しませてや
これからよろしくね
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