白い尾っぽの短編集 (ページ12)

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◇甘いプレゼントに囲まれて---nk ページ12

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『……よっし！完成！！』

目の前に広がるのは、彼氏の大好物で敷き詰められたテーブルと
それらに囲まれた手作りのケーキ。
手作りの割にはうまくできたのは、ケーキ屋の姉にとことん叩き込まれただからだろう。
夜な夜な練習した甲斐があったようだ。

手で額の汗を拭いて一息ついていると、玄関からガチャリとドアの開く音と愛しい彼の声が聞こえてきた。
私はすぐさまあらかじめ用意しておいたクラッカーに手を伸ばした。

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「〜♪〜〜♪」

鼻歌混じりに家へと帰る。
今日はいつもに増して浮かれていた。
まぁそれも仕方ないだろう。何故なら…

「誕生日、今年はどんなかなぁ…！」

そう。今日は俺の誕生日。
毎年毎年いっぱい祝ってくれる彼女・Aへの期待で胸がいっぱいだったのだ。

「ただいま〜！」

昨日はこんなに明るくなかったであろう声が廊下に響く。
ドキドキしながらもリビングへのドアを開いた。

パンッ！！

「わっ？！！」
『ナカム！お誕生日おめでと〜う！！！』

開いた瞬間鳴るクラッカーの音と人肌の温もり。
視線を落とすと俺に抱きついたAと目があった。

「ふふっ。ありがと！わぁ…！コレ全部作ったの？？」

『ふっふっふっ…毎日コツコツ練習してたからね。しかも今回はケーキも頑張って作ったの！』

その言葉に目をこれでもかと開き、思わずもう一度ケーキを見てみる。
白と水色のクリーム達で彩られたケーキに、誕生日特有のチョコプレート。
さらにはパンダのマジパン付き。まさに売り物レベル。

たしかに元々料理もスイーツも……なんでもできる彼女だったが、まさかここまでとは……
想像を軽々と超えていった彼女を見れば、胸を張ってどうだどうだと自慢している。
ここだけみると普通の可愛い彼女なのに……こんなに恐ろしい子とは(震)

『さ！早く食べよ！冷めちゃう冷めちゃう！』

「…そうだね！ありがとうA。」
『いえいえ〜。』

俺の大好きな食べ物達は相変わらず美味しく、ケーキに関しては食べるのが勿体無いくらい綺麗だった。
それでも口に運んでいれば空になっていく食器達。

軽く後片付けをしたら、二人でソファに座る。
ふと、いいことを思いついた。

「ねぇA？」

『んー？なに？』

「誕生日でしてほしいことあるんだけど……いい？」
『勿論！私にできることならなんでも大丈夫だよ！』

「じゃあ…………………俺にキス、して？」

『……………へっ？』

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