イロコイ・ライン 5th【ars K.N】 (ページ7)

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167.お買い物。ページ7

先生の運転する車は、特に目的も無い感じでその辺を走る。

「あ、煙草切れてんだった...コンビニ寄っても良い？」
「はい。私も飲み物欲しいから」
「じゃあ次に出て来たコンビニに入るわー。どこが来ると思う？ローソン、セブンイレブン、ファミマ...」
「ミニストップ！」
「お前、それってソフトクリーム食いたいだけだろ」

ケラっと笑った先生に、「そうかも」って言うとまた笑われた。

でも出て来たのは、レジカウンターでソフトクリームを売ってないタイプのコンビニ。

「残念でした」
「よく考えたらこんな時間にアイス食べたら太るから、逆にラッキー！」
「強がりー！」

グシャグシャ。
頭を撫で回される。
ドキドキしてやっぱり死にそう。

「ほら、行くよ？」
「...はい」

車を下りてコンビニに入って行く先生の後姿を見詰めながら、追いかける。
寒そうにちょっと肩を上げて、背中はやっぱり丸まって。
店内に入った瞬間「あったけー」って呟いちゃうのが、何か可愛かった。

「私、飲み物選んで来るんで先生、先に煙草買って来て下さい」
「ん、分かった」

先生はレジカウンターに向かって、私はペットボトルが並ぶ冷蔵庫の前に。
ちょっとコーラも飲みたかったけど、私の手が取ったのはミルクティー。

それを持ってレジに行くと、先生がちょうど煙草を買い終えたところっぽい。

「決めた？」
「はい」

先生にミルクティーを見せると「だと思った」って言われる。
その『分かってたよ』感が見たくって、私はこれを選んだんだ。

だって、何だかそれって凄く彼氏っぽいなって思うから。

ニヤけそうになるのを堪えて、カウンターにペットボトルを置いたら

「あ、これもお願いします」
「え？私、自分で！」
「財布出してるついで。お前今から鞄から財布出してお金出して...ってするんでしょ？時間の無駄ー」

先生はちょっと子供みたいに言いながら、サっと小銭をピッタリ出しちゃって。

「はい、行きますよー」
「あ...ありがとうございます！」

ペットボトルを持って、先生について店から出る。

車内に戻ったら、「一本吸っても良い？」って先生は窓を薄く開けて煙草を咥えた。
私もペットボトルの蓋を開けて一口飲む。

「あ、そうだ。ほい、これ」
「何ですか？」

ポイっと山なりに投げられたのは、チョコベビー。

ザラっと音を立てて私の手の中に納まる。

「ソフトクリーム食えなくて拗ねてるかなー？と思って」

拗ねてないけど

でも...やっぱり嬉しい。