【あんスタ】不器用で歪な二人。 (ページ3)

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二人の関係２ページ3

荷物をまとめている間も日和の文句は続いた。無視したり、あしらっているうちにすべての荷物がカバンに入った。

すると日和も文句を一通り言い終えたようで、

「A、帰るの？」

そう聞いてきた。うん、と答えれば一瞬寂しそうな表情を見せたけれど、すぐにいつもの表情に戻る。

「送るね！」
「え、別に大丈夫なんだけど」

私のカバンを持ってそのまま歩いていく日和。イスをしまって、すぐに追いつく私。カバンを取り返そうとすれば、ひょいと上に上げられて手が届かない。もう遅いとかなんとか。こういう時は、素直に甘えてしまったほうが早い。

「じゃあお願い」
「最初からそう言えばいいんだね」

日和は満足したように笑った。

＊＊＊

「Aは寮に入らないの？」

家までの道中、他愛もない話をする。夕方の町は、人がそこそこ多い。家に帰る小学生やサラリーマンを避けながら歩いた。

はぐれないよう、手も繋ぐ。

「家、近いから入らないよ。…あと、親から許可おりないし」

質問に答えた。私は別になんとも思わないけど、男だらけの寮に入るのを親は許可しない。日和も察したようで、ああ、と呟いた。

「まぁAはかわいいから、襲われちゃうかもしれないね！…でも、撃退しそうだね」
「うるさい。…日和ってあれだよね、カッコいいけど彼氏にはしたくないタイプ。そーゆーとこ、変わんないねぇ」

夢ノ咲にいた頃奏汰に教わったチョップをくらわせる。日和はぐぇっとうなった。

お互いを褒めたりディスりながら歩く。何となく見た日和の顔が赤いのはきっと夕日のせいだ。そして、私の顔が赤くてもそれは夕日のせいだ。

撃退しそうだね、っていうのは失礼すぎる。悪態をついたりするところは変わらない。

「…でもさ、日和って変わったところもあるよね」
「ん？」

心のなかで呟いたつもりが、声に出ていた。どのへんがかな、と聞きたそうな日和。

「身長が高くなってさ、私より歩幅広いのに、合わせてくれてるところとか」

日和を見て、ニヒ、といたずらっ子みたいに笑ってみれば、日和の顔がさっきよりも赤くなる。それを見つめていると、顔をそらされた。

「…照れてんの～？」
「ちょっと黙ってほしいね！夕日のせいだから」

そんなことを話す、帰り道。日和の顔がさっきよりも赤く、真っ赤に染まったのは夕日のせいにしてあげよう。