能力の価値 ページ2
Aside
“サイコループ”。それは私が持って生まれた能力だった。ある一定の質量のものを移動させるのだ。
すごい能力だって？そんなことはないよ。だって落ちこぼれだしね。
今日もまた鉛筆に触れる。すると5センチほど、鉛筆が移動した。その行動を何回も繰り返し私は盛大にため息を吐いた。
「こんな能力じゃ、ダメなんだよなぁ」
もっと大質量のものをもっと遠くにループさせたい。これは私の夢であってお父さんの能力だった。
私のお父さんは日本をそのまま移動させることのできるランクＳの能力を持った人だった。たくさんの人を救い、いろいろな人に崇拝され。とても偉大だったらしい。
私だって憧れてた。あんな風になりたいって思った。
けど、そのお父さんの子供だというのに私の能力は最大200グラムほどのものを5センチ動かせるだけ。
こんな能力、何にも使えない。もっと強くならなきゃ意味がない。
私はいつも右腕に付けている純銀のブレスレットを強く握った。
これでもランクDはいけると思っていたのだ。この学院に入る前まではだけど。
でもそんなに現実は甘くなかった。
毎回称号更新表にはGの文字書かれてちゃ自身も無くすっつーの。
Gは差別の対象だから友達だっていないし昔同じランクだったあの子も、自分が奇跡的にDに昇格すれば、のけもの扱い。
「どうすれば私も昇格できるんだろ」
過去を思い出し、ひとり感傷的な気分に浸っていると、
「＿＿＿＿＿＿＿＿A」
不意に名前を呼ばれた。
どうやら同じGクラスのあいつが現れたようだ。
三年生の制服を着た端正な顔立ちの男がこちらへと歩いてくる。
「泉、遅い」
泉、と呼ばれたイケメンな青年はAの隣の席に腰をかけた。
「どうしたの？ぼーっとしてるけど考え事？」
「いや、今回も二人とも落ちたなぁって」
Gクラスは私と泉の二人。あまりに人数が少ないので学年関係なくひとくくりにされているのだ。
「まぁいつもの事でしょ？
ていうか泉、あんたまた愚痴言われたでしょ。自慢の顔が歪んでるよ」
「何それ、ちょーうざい」
見下されるのはこれが私たちの立ち位置。仕方のないこと。
けど私も泉もすっごい負けず嫌いだからね＿＿＿＿＿＿＿＿
「次こそSに近づく！」
「暑苦しいのは大っ嫌いだけど、お互い頑張るよ！」
心だけはいつも折れない。我ながらいい能力だと思う。
………不屈の精神って能力に入らないかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 145人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朝霧藍 - 気にしない方針で大丈夫です。ありがとうございました。 (2017年9月10日 18時) (
レス) id: f5e9b9845d (このIDを非表示/違反報告)
玲瓏(プロフ) - 朝霧藍さん» いや、ありがとうございますですが、、、。似てても、もう気にしない方針でいいでしょうか？これも何かの縁です。朝霧藍さんも頑張ってください！わざわざありがとうございました！ (2017年9月10日 12時) (レス) id: 84d9c8d630 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧藍 - 読ませていただきました。たしかに、似ている部分がありますね。でも、玲瓏さんの方が圧倒的に話の書き方が上手です。最初の一話読んだらその次も読みたくなってしまい、気づいたら全部読んでました。更新頑張ってください。応援してます。 (2017年9月10日 11時) (レス) id: f5e9b9845d (このIDを非表示/違反報告)
玲瓏(プロフ) - 朝霧藍さん» 朝霧藍様も少し読んでみていただけませんでしょうか。意見が欲しいです。最初の一話でいいので。 (2017年9月7日 16時) (レス) id: 84d9c8d630 (このIDを非表示/違反報告)
玲瓏(プロフ) - 朝霧藍さん» 見てきました。確かに似ているような点もありますがよくある設定なので仕方ないかと。 (2017年9月7日 16時) (レス) id: 84d9c8d630 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
