【呪術廻戦】毒を以て毒を制す、はずだった【五条悟】 (ページ12)

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鮮やかな赤の野点傘の傍には、床机(しょうぎ)の上に敷かれた毛氈(もうせん)。

Aがお手洗いに行こうとその場を離れると、京都を思い起こさせるようなスペースで、両校の学長がなにやら話しているのを見つけた。

学長たちの足元にはアリたちが列をなして移動している。夜蛾学長はその様子を見ながら「…まだ虎杖が嫌いですか」と声をかけた。

夜蛾学長の問いに、楽巌寺学長は「好き嫌いの問題ではない」と返す。

…盗み聞きは良くないけど…悠仁に関することだから、気になる…

「呪術規定に基づけば虎杖は存在すら許されん…彼奴が生きてるのは五条の我儘…

個の為に集団の規則を歪めてはならんのだ。何より、虎杖が生きていることで、その他大勢が死ぬかもしれん。」

「だが、彼のお陰で救われた命も確かにある。現に今回東堂と協力し、特級を退けた…」

夜蛾学長がそこまで話した時、なにかを思い出すように続きを話し出した。

「学生に限った話ではありませんが、彼らはこれから多くの後悔を積み重ねる…

ああすればよかった、こうしてほしかった…ああ言えばよかった、こう言ってほしかった…」

楽巌寺学長はその話を黙って聞いている。

「虎杖についての判断が正しいかどうかは、正直私にも分かりません。

ただ、今は見守りませんか…

私たちの後悔は、その後でいい」

…

姉妹校交流会、2日目野球戦。

結果は東京2、京都0で東京校の勝利だった。

自分の受け持つ生徒たちの勝利を喜んでか「えへへ、へへへへ～へ」とやたらご機嫌そうに歩く五条先輩は、学長たちがさっきから見守っているアリの行列を気にも留めず踏んでいってしまう。

「「あ」」

「…夜蛾。お前はまず五条をどうにかしろ」

楽巌寺学長の言葉に、夜蛾学長は「ん''ん''っ」と気まずそうに咳払いをする。そして、

「頼むぞA」

夜蛾学長の声にAはハッとして、なんだバレてるんじゃんなんて思いながらも、同じように「…ん''ん''っ」と咳払いをした。