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チェンジが入って、今度は悠仁が捕手、東堂が打者という立場になった。
悠仁が腕慣らしにボールを投げていると、東堂がこちらへと近付いてきた。
「フッ…キャッチャーか。
補給、送球、リード、フィールディング、エトセトラ…ブラザーにふさわしいポジションと言えよう。
だが俺が望むのは、ピッチャー虎杖との一騎打ちだ!」
「東堂…
お前がピッチャーやればいいじゃん」
熱くなる東堂に、悠仁はそう面倒くさそうに返す。
その会話に、歌姫先生がすかさず「ダメよ。メカ丸がピッチャーしかできないんだから」と入っていった。
…いやいやいや。今更だけど歌姫先生、あのメカ丸容認してるんですか。
「約束してくれブラザー。この打席、俺がホームランを打ったら、次回お前がピッチャー…」
続きの言葉が聞こえない。代わりに、「ぐうぅ、うぉぉ」と唸るような声が聞こえてきた。
ボールが東堂の頬を派手に殴っていったことで、東堂は持っていたバットをも落としてしまった。
…なお、投げた真希はわざとなんだろう。
「と、東堂ー!!しっかりしろー!!」
悠仁はなんだかわざとらしい言い方でそう叫ぶが、本当の悲劇は傍から「ナーイスピッチー」と聞こえた真依の声から始まる。
続いて西宮と憲紀の「ナイッピー」「ナイッピー」、野薔薇の「真希さ〜んナイッピー」、それから多方面からの「ナーイスピーッチ」「ナイッピィー?」「ナイッピー」という止まない声。
ノリに乗ってAも「ナ〜イッピ〜」と声をかける。
軽い鼻血を垂らしながら倒れる東堂に、悠仁は同情する他なかった。
冷静に考えてみれば、個性の強い呪術高専生全員の思ったことが初めて一致した瞬間だったのだ。
「東堂…お前…
無茶苦茶嫌われてるなぁ…!」
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作者名:レイ | 作成日時:2022年3月18日 1時