【名探偵コナン】ゼロの紅一点【降谷零】

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堂本ホール完成記念公演の当日。


約束の時間には零が迎えに来てくれるということになっていたので、外で待っていると見慣れた白い車が目の前に飛び込んできた。


「零！どう!?」


零が窓を開けた途端、彼女がテンションMAXでそう話しかけた。


親譲りのクセっ毛ロングの髪に、くっきりした目元のその姿は、どう見ても堂本Aとは違う「表向きの堂本一揮の娘」でありバイオリン奏者の「堂本奏音」(どうもとかなの)の姿だ。


…ちなみに、それはあくまで「メイク」であって、ベルモットに教わった変装術はマスクをあらかじめ作っておかなければならない。


そしてわざわざ表向きの堂本一揮の娘を作った理由は、本来の姿で有名になってしまっては当然のようにゼロでの仕事に支障が出るから。


それでいて組織ではまた違う名前で通用している。


そう思えば、彼女も零と同じようにトリプルフェイスを使いこなす達人だろう。


「!?あ、あぁ…びっくりした、その顔で言われるとひやひやするな…とりあえず、乗れよ」


そう促されてAは彼の愛車に乗り込む。


「にしても凄い変装術だ…ベルモットにも引けを取らないんじゃないか」


「それはないよ〜…それにこれは女の人が化粧で化けるのと同じようなものだから」


Aはそう言うとベルモットみたいな圧倒的な美人さが欲しかった、なんて口に出した。


「いや…どっちのAでも綺麗だよ」


それに零がさらっとそう言ってのける。そして思わず頬を赤らめる彼女を見て満足そうに笑っていた。


(さらっと言っちゃうあたりもう…この天然タラシ…！)


(まぁ…本心だったんだけどな)


…この時は、完成記念公演であんなことが起こるなんて、想像もしていなかった。

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