重い想い、思い ページ45
店内が一気に静まり返る。
呆然とした顔で全員が視線を此方に向ける。
…言わない方が良かったか?
「Aさん、ご両親出て行ったって…それって」
哀ちゃんが辛そうに震える声で私に問いかける。
「A姉ちゃん、捨てられたのか…?」
「おいっ、元太!」
子供は素直だな。
捨てられたのか?そうはっきりと聞いてきた元太くんにコナン少年が焦ったように名前を呼ぶ。
『まぁ、分かりやすくいえばそうなるな』
私の台詞に全員が顔を歪める。
その様子につい苦笑いを零してしまう。
『何故私の事なのに君達の方が辛そうな顔をするの?別にそんなに気にすることじゃないよ』
飲みかけの紅茶に手を伸ばし口に運ぶ、少しだけ温くなった紅茶が喉を伝っていくのを感じながらフッと息をつく。
そしてゆっくり口を開く。
『あれは仕様が無いことだったんだよ。』
「仕様がない、ですか」
私の言葉に安室さんが小さく呟く。
『そうだよ。親は何も悪くはないんだよ。私を必死で愛そうとしてくれた。』
『いい親だったよ。』
再びシーンとした空気が流れる。
……空気が重いなぁ。私の所為だけど。
この空気、どうしようかとみんなの様子を伺い見ていると歩美ちゃんがゆっくりと私に近づき私の顔を覗き込む。
悲しそうな顔で見つめられる。
『?どうしたの』
「Aお姉さんは、…辛くないの?……平気、なの?」
……?、?なんでそんな事を聞くんだろう。辛い?辛いわけない。もう何年も前の事だ。そんな事今更思うわけもない。今更?今更って何。
子供は不思議だなぁ。不思議だから子供なのか? だとしたら、不思議じゃない子は子供じゃない?
あれ?なんの話だっけ。
珍しく頭がこんがらがった。
あぁ、そうだった。そうだった。
私は歩美ちゃんの頭に軽く手を乗せ笑顔を浮かべる。
『辛くなんかないよ。全然平気だから大丈夫。』
だからそんな泣きそうな顔しないでよ。
仕様が無い事は、
仕様が無いから、
仕様が無い。
それをいちいち気にするなんて、
仕様が無い。
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ミコト(プロフ) - 1412さん» ……確かにっ(衝撃)ご指摘有難うございます!修正しておきます!! (2020年1月9日 22時) (レス) id: 9d332e4a56 (このIDを非表示/違反報告)
1412 - 思ったんですが、夢主さんが自販機でジュースを買っている話があったんですけど自販機に万札は入りませんよ?お話事態はとても面白かったです!! (2020年1月9日 21時) (レス) id: 927162caee (このIDを非表示/違反報告)
ミコト(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります! (2019年1月17日 1時) (レス) id: 442cac4e68 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - 凄く面白いです! 続き楽しみにしてます! (2019年1月17日 1時) (レス) id: a63d8a48ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミコト | 作成日時:2018年12月20日 23時