40話 ページ40
見上げていた空を見るより
今の事で胸がいっぱいになっていた。
抱きしめている腕がさっきよりも
強くなっている。
どうして…っ
どうして抱きしめるの…？
あの女の人の所に行ってよ…
もう私なんか
いらないでしょ……っ
『……いやぁ……っ
もう………
私を傷つけないでよ…ぉ……』
「…すみません…っ」
『どうしてよ…っ
もうほっといてよ…
私は…天馬と……
一緒にいる必要なんて……ひっく…
な、いよ…ぉ……』
途切れている言葉で
天馬に自分の気持ちを伝えた。
私に……
これ以上、
優しくしないで…っ……
すると、
私を抱きしめていた腕がゆっくりと離れていった。
そう。
これでいいんだ。
私はもう…一緒にいる意味なんてないんだ。
そう決心していた。
その瞬間、
ふわっと自分の体が浮いたような感覚を覚えた。
『…ひゃっ…！
………な、なんで…っ』
その感覚は…
予想していなかったことだった。
私の体を持ち上げたまま
天馬はゆっくりと滑り台の階段を降りていく。
……なんで、
お姫様抱っこなんてするの…？
天馬…
あなたの事わからないよっ……
降りた後も
私を抱っこしたまま
公園にあるベンチに座った。
座ったのは
天馬だけど
『……ぁ………』
天馬の膝の上に私が乗っている。
その体制に、
私は恥ずかしくなりその場から逃げようと思っても
天馬の手が私の腕を離さないように掴んで
逃げることなんてできない。
何をさせたいの…
どうしたいの……
目の前にいる天馬の表情は
とても真剣な目で私の心を見透かしているような感じがしてドクンと胸の中があつくなっていく。
熱くなっていく体。
ドキドキする心臓の音。
キミの瞳に吸い込まれそうだよ……。
『…て、天馬…』
「逃げないでください」
『……っ』
「目をそらさないでください」
『………てん…っ』
天馬…
私………
「………
俺だけを見て」
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作者名：れいにゃん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年3月21日 1時
