私はキミに恋をする。1【松風天馬】 (ページ30)

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30話ページ30

『私の家、ここだから…』

あっという間に私の家の前に着き、

天馬は「ここが先輩のお家なんですね！」と嬉しそうに見ている。

そんなに嬉しそうに見る意味あるの？と思いながら天馬と向き合った。

『ありがとう…

送ってくれて

それじゃ…また明日ね』

そう言い残して私は家に入ろうとしたけど、

途中で足が進まなくなった。

え…？

どうして動かないの？

疑問を抱きながらもう一度、足を前に出そうとした。

でも次の一歩が出ずにそのまま立ち尽くしてしまう。

『な、なんで…っ』

「どうかしました…？」

あぁ…

そっか。

今更気づいた。

ずっとずっと言ってじゃん…私。

何故、次の一歩が進まないのか理由がわかった。

家に帰りたくないんだった。

誰も居ない家に＿＿＿＿

立ち尽くしている私を見て気にしたのか天馬は
私の肩をグイッと引き寄せてきた。

引き寄せられたと同時に、
私は＿＿＿＿＿＿＿＿

天馬をぎゅっと抱きしめていた。

「……っ!!!!?

せ、先輩…!!!!ど、どうしました!?」

『……え………な』

「え…？」

こんな弱い自分を後輩に見せるなんてダメな先輩だよ、私は。

どうしてこうやって
誰かに縋るんだろ？

いつになったら自分で解決しようとしないのだろう。

でも…

今は自分を自分で押し殺したくなかった。

『……てん…まっ…

かえりたく…ない…っ』

天馬の前だと弱音をはいてしまうんだ。

情けない。