26話 ページ26
あの後、葵ちゃんは
私に天馬の事を色々と教えてくれた。
『へぇー！
サッカーの入団テストがあったんだね！』
「そうなんです！
でも、天馬 はドリブルするとすごく早いんですっ！初めて見た時、ビックリしちゃいました！」
天馬の事を話している葵ちゃんは
とても楽しそうで見ているこっちまで嬉しくなる。
「入団テストの時、
怖い犬に襲われそうになって…
それで天馬は一生懸命助けてくれて…
本当に凄いなぁって心の底から思いました。
天馬のサッカー…見ていたいなぁって」
葵ちゃんの一つ一つの言葉に
ズキっと痛むような感覚になった。
なんか…葵ちゃんの表情を見てると
どこか悲しそう…。
『あ…あのさ
葵ちゃんは…
天馬のこと…どう思ってる…？』
すると、葵ちゃんは私の質問に対して
今までに見たことのない仕草をする。
「え！？えええっ！？
私ですか！？いや…その別に…！
天馬の事なんて…そのっ…
あ、私！こっちなんでまた明日っ！」
『あっ、ちょ！！葵ちゃ……』
慌てて葵ちゃんは違う方の道へと走り出していき、
話を聞けずに終わってしまった。
あんな葵ちゃん見たの初めてだ。
顔を真っ赤にして、
天馬の事を話しているととても嬉しそうにしてて…
私は…今更気づいてしまった。
『…葵ちゃん…もしかして』
天馬の事が
好きなの…？
ズキッ……
胸の中で疼くこの痛み…
本当に何なの…
その意味を私に教えてよ…っ。
分かんないよ…っ
気持ちが落ち着かないまま、
私はゆっくりと家に向かって歩き出した。
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作者名：れいにゃん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年3月21日 1時
