23話 ページ23
その後、私はずっと座ったまま
少しずつ日が暮れていく空を見上げていた。
空を見てるとずっとこのままで居たいと思う。
お家に帰りたくないよ。
家に居たってどうせ…
一人ぼっちなんだから。
『………帰ろ』
このまま居ると先生が見回りに来るかもしれない。
そう思いながら
重たい体を起こして鞄を右肩に掛けて教室を出た。
.
.
校舎から出てまた空を見上げる。
すっかり辺りは暗くなっており、
散らばっている星がキラキラと光っている。
その光景に私の口は開きっぱなし。
やっぱり綺麗だなあ。
いつか私、空になりたい。
いろんな色を変えていく
綺麗で輝いている空に…。
『…なーん…て…』
はぁっとため息をこぼしながら
再び歩き出した。
その瞬間、
「あれ？
A先輩？？？」
後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえ
振り向くとそこには
新しく入ったマネージャーさんの…えっと空野さん？が私に気づいて近づいてきた。
「あ！やっぱり先輩！
今日、来られていなかったので心配してましたっ！どうかされました？？」
心配そうに私を見つめながらそう言ってくれる空野さん。
あぁ……
私、心配をかけてしまってた。
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
『ごめん…』
「そ、そんなっ！
謝らないでください！
何かあったなら私、話聞きますよ？」
空野さんは私の両手をぎゅっと優しく握ってくれた。
握ってくれた手から優しい熱が伝わってくる。
空野さんの手、優しい。
そう感じながら、『ありがとう』と空野さんに言った。
「それじゃあ、一緒に帰りましょ！」
『…あっ！
えと、空野さん1人なの？』
「葵でいいですよっ！
そうなんですよ〜…
天馬ったら元気がなさそうに先に帰ってちゃって…
他のみんなはもう少し練習するって言ってたので…
私、先に帰らせてもらってるんです。」
『そう…なんだね…』
天馬…帰ったんだ。
やっぱり私のせいで…っ。
「…先輩…
天馬と何かありましたか？」
ドキッ
その一言に胸がキュッとなってしまい、
慌てて葵ちゃんの方を振り向く。
「…天馬、
先輩を探しに行ってから帰ってきた時、
元気がなさそうでした。
聞いても何も答えず、
ただ「先輩、見つからなかった」って…
その一言だけ言っていました」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいにゃん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年3月21日 1時
