22話 ページ22
体動かなくなった理由はすぐに分かった。
そう＿＿＿＿
天馬に手を掴まれているから。
『て…てんま…っ』
「俺から離れないで」
『え…ちょ…っ』
その瞬間、
掴まれていた手が天馬の手と絡み合い、
そのままグイッと
天馬の胸の中に引き寄せられた。
ドキッ…ドキッ…
突然の事に、
私の心臓はバクバクと鳴り出し
天馬に聞こえるかのような音を鳴らす。
体を動かそうとしたら
天馬のもう1つの腕が私の背中にまわってきて
逃げられないようになってしまった。
やめて……
心臓が破裂しちゃいそう…っ…
『…やっ……
は、は…はずかしっ…』
「俺…
霧野先輩や…
他の人と話しているA先輩を見てると
胸が傷むんです…
俺…
こんな事になるの初めてなんです。
それで俺…気づいたんです…」
すると、天馬は
私の顔を両手で優しく包み込み
ゆっくりと私の顔を上げていく。
顔を上げると、
そこには顔を真っ赤に染め
切なそうな表情を浮かべながら私を見つめる天馬。
ドキンっと今までよりも
胸が高鳴った瞬間だった。
…………
「先輩…
俺……」
『……っ……』
「先輩のこと…が……」
口ごもりながら目をキョロキョロと動かしながら
恥ずかしそうにする天馬を見て、
キュンと次は小さく音が鳴る。
もうキミから目を離せない。
口を開いて言おうとした瞬間、
ガラッ！！！
扉が開く音がすぐ側で聞こえた。
驚いて音がする方へと顔を向けると、
そこには先生が私達を見ながら自分の頭を掻いていた。
「おーい、田中ｧ…
って…もう帰ってるか…
ん？
お前ら、どうかしたのか？？」
改めて私は自分たちをよく見ると、
あまりにも近い距離でいる事にハッとすぐに気が付き、急いで離れた。
「ほー？
青春だなぁ？うんうん
暗くなる前にそろそろ帰れよ？
じゃあまた明日な？」
手をヒラヒラと振りながら、
先生は教室の扉を閉め 歩いて行ってしまった。
せ、先生…
危ないところを助けてくれてありがとう…！
これ以上は私ももたなかった…！
いろんな意味で。
「…す、すみません…
俺…部活に戻ります」
そう言うと、天馬は
ゆっくりと歩き出し
教室を出ていった。
『………はぁ……
心臓に悪いよ…っ』
そのまま座り込んだ。
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作者名：れいにゃん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年3月21日 1時
