21話 ページ21
『てっ…天馬っ…
どうしてここに』
「えっ!?
もう部活始まってますよ!?
先輩いなかったから心配で…探していたら先輩がここにいたから…」
そういった後、
ホッと胸をなでおろしながら「でもよかった」と言う天馬。
そっか、私…
部活行ってなかった…
でも行く気になんてなれないや
『ごめん…
あのさ、今日部活休むね』
「…え…？
気分でも悪いんですか！？
俺、保健室連れていきますよ！」
『ううん。
そういう訳じゃない…
ごめん、1人にしてくれるかな』
今は誰とも話す気になれない。
頭の中がさっきの夢の事でいっぱいいっぱい話す気にもなれなくなっている。
天馬から目線を逸らし、
また外の景色を見た。
すると、衝撃の言葉が返ってきた。
「嫌です」
『は…っ…？』
「…嫌だッ！！
俺は…っ
先輩がいないとダメなんですッ！！
先輩に俺のサッカーを…
いや、俺を見てほしいんです！！！
俺だけを…！！！」
突然、大きな声で私に向かって叫び出す天馬に私は言葉を失った。
「…俺だけを…ッ
霧野先輩じゃなく…っ
俺だけをみてほしい…」
なにそれ。
何が言いたいの…天馬…？
なんで…
蘭丸が出てきたの……？
「俺、
実はお昼に
屋上に行こうと思って行ってみたら
そこに先輩と霧野先輩が来てて…
俺は慌てて開けたドアを閉めてしまったんですけど、
そのドアの隙間からこっそり覗いてしまってたんです…
すみません…
こんな事をしてしまって…
でも、俺…二人が一緒にいるの…気になってしまって…
そしたら寝ている先輩の頭を撫でて…
先輩を抱きしめていたんです…」
『…え、あの時…』
ら、蘭丸が私を…？
寝ている間にそんなことをしていたなんて…
それに………
みられていたんだ…。
天馬……に……。
天馬は悲しそうな顔を浮かべながら
「本当にすみませんでした」と後に続けて言った。
『………そうだったんだね…
別に謝らないで……
なんかごめん…』
天馬の顔が見れなくなった。
どう言っていいのかもわからず…
このまま家に帰りたくなった。
『ごめん…
天馬。私、帰るね』
机の横に掛けていた鞄を肩に掛けながら
教室を出ようと立ち上がった。
パシッ……
体が動かなくなったと同時に
私の手から熱が出てきた。
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作者名：れいにゃん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年3月21日 1時
