19話 ページ19
「おい、A」
いつの間にか
私の後ろに来ていた蘭丸は
私の右肩をポンッと軽く手を置いてきた。
『なに…』
授業をサボってしまった〜…
今の授業の先生、すっごい怖い先生なんだよなぁ……まずいなぁ…
そう考えながら適当に蘭丸に話す。
すると、蘭丸の顔が
私の目の前に来たことに気づき
ハッと息を飲み込んだ。
なんで、こんなに近くにくるの…っ！
「お前さ。
なんか変わったことないのか…？」
意味不明の質問をされ、
私は戸惑いながら『なにそれ』と答えることしか出来ない。
すると、
蘭丸はまた悲しそうな顔をして「そうか」と言いながら私の隣で座り込む。
なんか今の蘭丸…
いつもの蘭丸じゃない気がする。
『ねぇ、
蘭丸…
何か隠してることない？』
「…………」
黙り込む蘭丸。
聞いてはいけないことを言ってしまった感じがして、何故かそれ以上何も言えなくなってしまう自分がいた。
「……っ…A」
…ｷｰｰｰｰﾝｺｰｰｰﾝｶｰｰｰﾝｺｰｰｰｰﾝ
授業が終わるチャイムが大きくなり始めていく。
それでも
私は蘭丸から目を離さなかった。
でも蘭丸は私を見てくれなくなり、
その場から立ち上がった。
「ほら…
行くぞ」
座っている私に向かって手を伸ばしてくれた。
その時の表情はさっきまでと変わらずにいる蘭丸。
蘭丸が伸ばしてくれた手を掴み、
私も立ち上がった。
そして、屋上からゆっくりと出ていった。
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作者名：れいにゃん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年3月21日 1時
