捌 ページ9
『はぁ、はぁ…』
毒妃「賢いわね…トリカブトを多く摂取して鬼化を遅めるなんて…でも、そんなことしたら死ぬんじゃない？」
『生憎、毒には慣らされてるから平気よ…ｹﾎｯ…』
口から血が出る。ただ、今の私の弱点は…身体中が痺れ動けない事。こうなるんだったら霞柱様を呼べば良かった。
毒妃「もう辞めなさい…貴方はこれから、私の下僕なんだから」
ズバッ!!!!!!
『……ぇ』
毒妃「……な、に」
髪を触ろうとした毒妃の腕が、遠くに飛んでった。一瞬の事で、その場にいた人達みんな、びっくりしていた。
無一郎「1人で突っ走るからこうなるんだよ」
『ｯ！？か、霞柱様!!』
滅。そんな文字が書かれた大きな背中が目の前にあった。私をチラッと見たその目は、冷酷その物だった。背筋が凍る。
毒妃「っ、柱か…まぁいいわ!!2人まとめて鬼にしてやｯ」
無一郎「霞の呼吸、肆ノ型…移流斬り」
霞柱は流れるような太刀筋で、呆気なく首を斬ってしまった。
『そ、こ、こんな簡単に…』
無一郎「むしろ、この鬼が強いと思ってたなら、君が甲だなんて信じられないな」
『ッ…申し訳ありません………ゴホッ…』
地面に血が飛び散る。そうこうしている内に、いつの間にか鬼化が進んでいた。
毒妃「ほらみなさい!!もう、鬼になってるじゃない!!」
無一郎「……ちょっと黙っててくれないかな」
霞柱様は毒妃を粉々に斬り刻むと、日輪刀についた血を払った。
無一郎「君、トリカブトを食べた？」
『はい。あの鬼の血鬼術の炎には鬼化させる薬とトリカブトが半々に入っていたので…鬼化を遅らせるためにトリカブトを多く摂取しました……ｹﾎｯ、ｹﾎｯ…』
無一郎「良い判断だね…でも1人で突っ走ったのは見逃せない」
身体が震える。霞柱様の話が聞こえない。私は、霞柱様の頬についた返り血に釘ずけになってしまっていた。
『……か、霞柱、様…行ってください…行ってください……』
無一郎「どうして？」
『鬼化が…進んでいるので…お早く…!!』
日輪刀は燃え続け腕は火傷していた。ガタガタと震える腕と唇。
このままでは霞柱様に襲いかかってしまう。
刀をギュッと握りしめた時、霞柱様が目線を合わせるように目の前で膝を立てた。
無一郎「今から蝶屋敷に運ぶから、そこで血鬼止めと解毒剤を貰えば良い、分かった？」
『！……はい。ありがとう、ございます』
そして、夜明け前までには蝶屋敷についた。
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作者名：見習い小説家 | 作成日時：2023年7月12日 12時
