梅雨の終わりに愛を唄う【壱】 (ページ7)

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陸ページ7

『はぁ、はぁ……本当にこっちで合ってるの!?』

鎹鴉「A!!一旦本部に戻レェ!霞柱様ヲ置イテイクツモリカァ！？失礼極マリナイゾォ!!」

『うるさいわよ雷(ライ)!今は鬼に合って、父上を殺した鬼の情報を聞き出さなきゃ!!柱には後日お会いするわ!!』

雷「マッタク…」

血眼になって南東の山に行くと、信じられない物があった。

『こ、これは…何？なんなの？』

目の前には、血だらけになった新人隊士達の姿があった。
新人たちの周りには、紫色の花と、沢山の蝶達。

『まさかあの花は…!!雷!!今すぐに霞柱様にお伝えして!!南東には近付くなと!!!!』

雷「リョーカイ!リョーカイ!」

空へ羽ばたく雷を見送ると、私は静かに女性隊士に近寄った。

隊士「ｯ……き、甲、様……」

『喋らないで…鬼は？鬼はどこにいるの？』

隊士「な、なりません…あいつは…あいつは…！」

『…この花を見る限り、鬼は毒を使うのね…安心して』

立ち上がり鬼の気配を探る。そこら中に花があるため匂いが邪魔
をしてくる。

『花の匂いがｯ』

鬼「ふふふふ…随分苦労しているようね」

『っ！……女鬼か』

花と花の間から出てきたのは、一人の女鬼。大胆に赤い着物を着崩している。長い髪は長簪で留めていた。

鬼「私は毒妃(トクヒ)…貴方は」

『…伊集院A…鬼殺隊甲よ!!』

毒妃「柱では無いのね…ねぇ貴方、鬼にならない？」

『ｯ……は？』

震える手を抑えながら、刃先を向けた。毒妃は私に近付くと、持っていた扇子で顎を持ち上げる。

毒妃「だって貴方…とぉぉぉっても…可愛いらしいんだもの…貴女が鬼なれば…いくらでも利用できるって訳…この美貌だもの…遊郭に送ってやっても良いわねぇ」

『はっ笑どうして遊郭？』

毒妃「あら、鬼は男も食べるのよ…女鬼は特にね…だから色仕掛けを使って油断させるの」

刀を握る手に力が入った。舌なめずりをして私を見つめる毒妃を睨みつけて口を開いた。

『貴方達に心は無いのね…だから無能なんだわ』

毒妃「ﾋﾟｷｯ…このクズ!!!!」

『！？』

毒妃の手から紫色の液体が出てきて、頬にかかる。

ジュゥｯ…

『あっつ！』

毒妃「ふふふ！それはトリカブトのエキス!!放っておいたら数分後には死ぬわ」

頬が火傷したかのように赤くなった。ヒリヒリする。

『……衣織兄様…お許し下さい』

兄との約束を断ち、今すぐに毒妃の首を斬らなければ。

私は日輪刀を毒妃に向けた。