梅雨の終わりに愛を唄う【壱】 (ページ26)

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弐拾伍ページ26

涙が止まらない。
拭っても拭っても溢れだしてくる。

『(駄目だ…止まんないよ…)』

「A」

涙の流れる頬に、無一郎様の手が添えられる。夢の中とは全く違う、暖かい手。その事実にまた溢れ出てきた。

「目、閉じて」

『……』

言われるがまま目を閉じると、柔らかいものが唇に当たった。
それは優しく、暖かい。

「…泣き止んだ？」

『…(ﾎﾟｶﾝ)…うん』

涙が止まると、無一郎は私の手を取った。

「A…僕が蝶屋敷で言ったこと、覚えてる？」

『…結婚…だっけ？』

「…A…結婚しよう…僕達」

一瞬、分からなかった。でも、すぐに理解出来た。
また、涙が出てしまう。
あぁ、私、泣き虫だなぁ……。

『…はい…喜んで』

お互いのおでこをコツンッとくっつけて、笑い合う。

「これからよろしくね……A」

『うん!泣』

「ああもう…泣かないでよ笑」

『だって～～～～泣』

雨と雷はいつの間にか、止んでいた。