梅雨の終わりに愛を唄う【壱】 (ページ23)

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屋敷に帰ると、陰から渡されたタオルで水気を拭き取る。

『…加藤さん』

加藤「はい？」

彼女は最近仲良くなった陰の子。この屋敷では唯一の女の子だ。そして、私のお世話係。
髪の水気を取りながら加藤さんに話しをした。

『最近…師範を見たり、距離が近くなると鼓動が早くなるの…』

加藤「!?(恋だ…どう考えても恋だ…マジか。あんな冷たい方のどこに惚れたんだ!?)←失礼」

『……もしかして……私…恋してるのかな』

加藤「はい」

即答！？
びっくりしながらも加藤さんを見ると、真剣な眼差しだった。

加藤「…A様、そのお気持ち、伝えられる時に打ち明けられてください…鬼殺隊、ましてや柱であるあのお方はいつ死去されるか分かりません。ですから」

『死去だなんて…でも…そうよね…』

考えたく無かった。もしかしたら明日死んでしまわれるかもしれない。そう考えただけでも心苦しかった。

『覚悟は…しとかなきゃね…』

加藤「はい…私めも、応援しております」

『うん。ありがとう』

外の雨は、まだ土砂降りだった。

夕刻。土砂降りで何もする事が無かった私は、裁縫箱を取りに居間に向かった。

『ぁ…』

居間では無一郎が壁に寄りかかって座り寝していた。日輪刀を大事そうに抱えている。
とりあえず起こさないようにゆっくり入ると、棚にある裁縫箱を取ろうと手を伸ばした。

ぴかっ!!どぉぉおおおおん!!!!!!!!

『ひゃあ!!』

落ちた雷にびっくりして、その場にうずくまる。
幼い頃から雷が駄目な私は、すぐに泣きそうになった。

『(私ってよくこんなんで甲になれたよね…)』

「雷怖いの？」

『！ごめん、起こしちゃって』

ピカッ

『ﾋｭｯ』

「……(小動物みたい)」

つい無一郎の服裾を引っ張ってしまった。
震える手に大きな手が乗った。

『無一郎』

「大丈夫。僕いるし…何より、これでくっついてられるでしょ」

『くっ、くっつく!?』

すました顔で言うんですね貴方は!!
ま、まぁ、くっついて差し上げますわよ!!……恥ずかしい。