梅雨の終わりに愛を唄う【壱】 (ページ3)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:1,156 hit

弐ページ3

１ヶ月後の梅雨。

衣織「母上様!!母上様!!」

由芽「…衣織……A…母、はｯ…先に逝き、ます…」

『母上!!母上!!』

衣織「なりません母上!私達はまだ母上に…!!」

由芽「最後に………愛しています」

父を亡くした絶望により、母は亡くなった。天元様の前で
は堂々と立っていたが、内心とても辛かったのだろう。
母の葬儀はシンプルに行われた。
こうして伊集院家は、私と兄だけになってしまった。

衣織「上弦の鬼めｯ…!!俺が…俺が…殺してやるｯ!!!!」

母を亡くした兄の口癖はそれだった。そして、それを実現
させるかのように、兄は15歳で鬼殺隊に入隊した。私も後
を追うように、10歳で入隊した。

私達兄弟は僅か１ヶ月で、兄は梅雨柱に、私は一番目に階
級の高い、甲(きのえ)に昇進。

御館様「衣織、A…お前達は本当に素晴らしい。たった
１ヶ月でここまで上り詰めるとは…大した事だ」

かつて父に聞いた御館様にお会いし、お褒めの言葉を頂い
た時は本当に驚いた。

兄は鬼殺隊で実力のある剣士だった。梅雨の呼吸を拾壱の型
まで極め、下弦の鬼をも簡単に倒す事が出来た。
妹の私も、何体かの鬼は1人で斬れる。

鬼の首を斬る生活を続けてきた私達兄弟。
ある日、兄が継子の私にこんな事を言って来た。