梅雨の終わりに愛を唄う【壱】 (ページ15)

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拾肆ページ15

その日の夕方。

陰「稽古お疲れ様でした」

『ありがとう、ご苦労さま』

本格的に始まった稽古。霞の呼吸法は梅雨と同じだったためすぐに習得する事が出来た。ただ、問題は技だった。
梅雨の呼吸をずっと使ってきた私に取って突如変更になったので技の習得が難しかった。特に漆ノ型の「朧」は難しかった。
上手く霞をまけなかったりと、弱点丸出しだったのだ。

『あ～…つ、疲れたぁぁぁぁぁぁ…』

想像以上に厳しかった稽古のせいで身体中が痛かった。部屋の畳
の上に倒れ込むと、瞼が重くなって行った。

スパンッ!!

？「Aちゃん!!」

『きゃああああ!!!!…って…恋柱様!?』

突如勢い良く開いた襖から出てきたのは、恋柱の甘露寺蜜璃様。
とっても可愛らしく、なんでも桜餅が大好物なのだとか。

蜜璃「Aちゃん!!無一郎くんの継子になったって聞いて駆け付けて来ちゃった!!、あ無一郎くんには秘密よ」

『そうでしたか!よくいらっしゃいました恋柱様!』

蜜璃「もぉ～、敬語なんて要らないわ!蜜璃ちゃんって呼んで」

『！？！？そ、そんな！私にとっては無礼極まりない事です！』

蜜璃「え～…お願い!!女の子のお友達少ないから…」

キラキラした顔が近ずいて来る。
美しい!!そして眩しい……!!

『蜜璃ちゃん…』

蜜璃「きゃああああ!可愛いわ～!」

『ちょっ、声大きいですよ!時透さ…霞柱様にバレてしまいますよ!』

蜜璃「Aちゃん無一郎くんの事、時透様って呼んでるの？」

『へ!?』

蜜璃ちゃんは頬を染める私を見ると、楽しげに口を開いた。

蜜璃「素敵!!あ！…もしかして、無一郎くんの事……」

『ち、違いますよ!!違います!!……多分…』

茹でたこみたいになる頬を両手で抑えた。

蜜璃「…あの子、口はキツイ子だけど根はいい子なのよ。頑張ってね!Aちゃん!!」

『…はい!』

蜜璃「あら？そのリボン…」

『あ、…これは時透様が…って、』

シュルッとリボンを解くと、蜜璃ちゃんに見せた。だけど、なぜか固まったまま私を見ている。

『あの…』

蜜璃「……え……あ!!ごめんなさい…」

顔が赤かった。耳も赤い。

『顔赤いですけど…大丈夫ですか？』

蜜璃「へ!?あ、うん!!全ｯ然平気!!」

『良かったぁ…で、これは私が、時透様の継子だってどなたでも分かるようにくださったんです!』

蜜璃「なんだか…愛されてるのね、Aちゃん」