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渋々ながらに硝子は写真を覗き込んだのだが。
写真を視界に入れて、硝子は僅かに瞠目する。
「……ほぉ、確かに、Aがべた褒めするだけのことはあるね」
「でしょでしょでしょでしょ!?お願いして、ツーショット撮ってもらった!ツーショット?ツーショット!!きゃ―――!!」
「自分で言って自分で興奮すんのやめて」
舞い上がるAを宥めつつ、
写真に顔を戻し、Aの横に映っている青年を観察する。
色素が薄めの灰色の髪に、陶器のように白い肌。
男子とは思えないほど長い睫毛に縁どられた、
零れ落ちそうなほど大きな瞳。
人形のように精巧極まりない見た目なのに、
どこか東洋的な雰囲気を漂わせているところが、
これまた余計にうまくマッチしている。
「なるほどね〜、Aはこういう、繊細なタイプが好きなわけね。…うん、益々あいつらの勝算はなくなったな」
ぼそりと呟いた声は、有頂天のAには届かない。
「うん、こりゃ絵になるカップルだね。…なーんかちょっと、寂しい、かな?」
画面に映る2人はどこか、似たような雰囲気を漂わせている。
2人とも、リラックスした柔らかい微笑みを浮かべていて。
きっと、心の波長的なものが、ぴったり合うんだろう。
…Aの恋は、きっと成功する。
普段は性格が残念だとか、いろいろと暴言を吐く硝子だが、
Aの良さは彼女が一番わかっていると言っても、
決して過言ではない。
いろいろと残念なところがあるのは事実だが、
Aは硝子が見てきた他の誰よりも優しくて良い子だ。
他人の痛みを理解できる、思いやりに溢れた優しい子。
そんな彼女が、他の誰かのものになってしまうのは、
少しだけ、本当はかなり寂しいけれど。
「湊くんていうんだよ!綺麗な名前。湊くん湊くん湊くん…」
「いや怖い」
Aの無邪気で愛くるしい顔を見ていたら、
そんな嫉妬心にも似た感情は、どこかへ行ってしまう。
「それで?次会う約束はしたの?」
「ふっふっふ、勿論。今週の日曜日ね――――」
親友の恋を応援してあげようと、硝子は小さくため息をつきながら
そう、思ったのだった。
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白音 - すっごく面白い!!更新、楽しみにしています!! (11月19日 17時) (レス) id: 24b42eab7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - さくらのきういさん» いえいえ、全然同担拒否とかじゃないです、むしろ好きなものを共有することができる人がいるって凄く素敵で嬉しいことですよ!!ですよね、エヴァ自体、ストーリーを良く知っている人がそんなにいないんですよね…。この作品を好きだと言っていただき、嬉しいです!! (2021年6月28日 7時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
さくらのきうい - カヲル君カッコいいですよねー。学校で話しても誰も知らなくって。あっ同担拒否とかじゃないですか?そうだったらごめんなさい。この作品すごく好きです!応援しています! (2021年6月26日 9時) (レス) id: 65d75c56ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - リリさん» 好きすぎるだなんて…照れます(*´ω`)面白いと言って下さり光栄です、ありがとうございます!! (2021年5月29日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - 赤ちゃんさん» マジですか!?良いかもですか!? (2021年5月29日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきのふ x他1人 | 作成日時:2021年1月19日 13時