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「ない…ない…ない、私がとっておいたグミがなーーい!!」
いつも定位置に置いてあったはずなのに。
どこに行ったのか、何故無くなったのかという疑問が
頭の中を駆け巡る。
生クリームとかそういう系は苦手だけれど、
飴やチョコ、グミといったお菓子系は大好きだ。
少し根を詰めて勉強をした後、
一息つくときに食べるちょっとしたお菓子は、
至福と言っていいほどに美味しく感じられる。
何回も買いに行かなくてもいいように、
買いだめして置いといたのに。
フルーツグミ3袋は最低でも残っていたはずだった。
棚にも冷蔵庫にも引き出しにも、
ない、どこにもない。
「あ、ごめん、俺それ食べたわ」
軽く手を上げてそんなことを言った五条に、
思わず脳がフリーズする。
――オレソレタベタワ?
「いや、食べたって…。何袋かあったでしょ?残りは?」
「いや、全部食べた。お腹すいててさ〜、パクパク食べてたら、いつの間にか全部なくなってたっつーか?」
全部、食べた。
私が大事に残して置いたやつを。
ちゃんと名前も書いて、食べないで、ってメモも貼って
棚の奥の方に隠しておいたのに。
期間限定、紀州梅味は、探しまくって
ようやく見つけてゲットしたものだというのに。
理解して、受け入れた瞬間、怒りで
目の前が真っ赤に染まるような感覚に陥る。
「何で勝手に食べたの!?何で黙って食べたの!?どうして3袋もあったのに全部食べちゃうの!?紀州梅味、手に入れるのにどんだけ苦労したかも知らないくせに!!」
「だから、ごめんっつってんだろ!また買ってこりゃいいじゃんか。…いちいち細かいことでうるせーよ」
何でアンタが怒るのさ、訳が分からない。
怒りたいのはこっちだ、泣きたいのはこっちだ。
「買おうと思ってそう簡単に買える物じゃないの!…もういい、今から探してくる」
もう夜も10:30を過ぎているが、そんなことは関係ない。
ここにいたくない。
こいつの顔を見ていたくない。
「やめときなって、A。明日一緒に探してあげるから、ね?」
「悪いのは悟だけど、そんなことでAもそう怒らずに」
食べ物の恨みは大きい。
そう簡単に許せるものじゃない。
「見つけるまで帰らないから。――五条なんて大っ嫌い、トラックに轢かれて死んじゃえ!!」
それだけ言って、そばにあったコートをひっつかむと
夜の冷たい空気の中、私は飛び出していった。
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白音 - すっごく面白い!!更新、楽しみにしています!! (11月19日 17時) (レス) id: 24b42eab7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - さくらのきういさん» いえいえ、全然同担拒否とかじゃないです、むしろ好きなものを共有することができる人がいるって凄く素敵で嬉しいことですよ!!ですよね、エヴァ自体、ストーリーを良く知っている人がそんなにいないんですよね…。この作品を好きだと言っていただき、嬉しいです!! (2021年6月28日 7時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
さくらのきうい - カヲル君カッコいいですよねー。学校で話しても誰も知らなくって。あっ同担拒否とかじゃないですか?そうだったらごめんなさい。この作品すごく好きです!応援しています! (2021年6月26日 9時) (レス) id: 65d75c56ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - リリさん» 好きすぎるだなんて…照れます(*´ω`)面白いと言って下さり光栄です、ありがとうございます!! (2021年5月29日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - 赤ちゃんさん» マジですか!?良いかもですか!? (2021年5月29日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきのふ x他1人 | 作成日時:2021年1月19日 13時