27話 ページ27
ひょい、と持ち上げられる。
……別に羞恥心がないというわけではない。
ただ、この状況下において、私が抵抗すればするほど彼も私も体力を失っていくわけで――などと自分に言い聞かせる。
バタバタと幾多の足音が徐々に近づいてくる。
骸、と彼の名を呼ぶと、分かっています。と返ってきた。
後ずさりをして、扉――があった場所――から少しでも距離をとる。
やがて見えてくる沢山の大人達。
スーツや白衣に血がついているように見えるのは、きっと気のせいなんかじゃないのだろう。
「チッ、もうここまで来ていたのか」
と一人の大人が独り言のように呟く。
その言葉に、ここに重要なものがあるという意味が含まれているのだろうと考えるが、ここには私ぐらいしかなかったはず、と考えたところで、ああ。と自己完結をする。
ここには、
つくづく人間らしい。呆れるものだ。
「紫苑、すみません。少し下がってて」
最後まで聞かずに、彼の肩を少し押しなんとか自力で立とうと腕から降りる。
紫苑……？ 彼の戸惑ったような声が聞こえるが、無視。
「……699番、こちらに来い」
命令口調の言葉と差し出された手。
その手をじっと見つめながら、口を開く。
「消えろ」
と。
その手に炎を灯しながら。
久しぶりに見るオレンジの光。
それを見て動揺する声。
炎を大人たちに投げつけ、投げつけ、投げつけ――。
阿鼻叫喚。
燃える肉塊と部屋。
ああ、早く逃げなくては。
振り返る。
目を見開き、唇を震わせる少年達。
「……」
怖がられてしまったか。
何を言えばいいか分からない。
どうしたら、いいのだろうか。
「……逃げ、ないの？」
やっと出た言葉。酷いのだろうか。これでいいのだろうか。
私らしくない。こんなことで不安になってしまうなんて、随分と臆病になったものだ。
少年がゆっくりと瞬きをした。
「……逃げましょうか」
恐怖を微笑みに変えて。
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杏 - いえいえー当然の事を言っただけですー喜んで貰えて光栄ですよー それと､音域を広げる練習､頑張ってくださいー諦めずに頑張れば報われるはずですからねー ふむ､来月ですかーコトハ@白亜さんの小説は奥が深いのでーワクワクしますねー楽しみにしてますー (2015年8月21日 12時) (
レス) id: 7c8a29757a (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 杏さん» 返信ありがとうございます。そう言っていただけると作ってよかったと思えます…ありがとうございます。なるほど、その方法がありましたね…早速試してみようと思います。アドバイスありがとうございます。せめて再来月までに公開できるよう頑張ります…！ (2015年8月20日 18時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
杏 - 大丈夫ですー､ミーも返信遅くなってすみませんー 気に入った作品にコメントするなんて当たり前じゃあないですかー 音域が狭い､ですかーピアノで音を取ると結構出やすいですよーあとは､歌いたい曲を練習してー音域を広げるのもいいと思いますー 続編､待ってまーす (2015年8月20日 15時) (レス) id: 7c8a29757a (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 杏さん» 返信ありがとうございます、遅くなってすみません！わわ、続編までコメントいただけるんですか…ありがとうございます！嬉しいです！音痴というか出せる音域が狭いんですよね…なので歌が上手い人羨ましいのです… (2015年8月19日 0時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
杏 - はいー､頑張って下さいー続編出来るまで此処を見に来たりしましょうかねー 一番に作品を見に行ってコメントしたいですー…音痴?そんなのカラオケが悪いんですー声の質は様々じゃないですかー (2015年8月17日 11時) (レス) id: 81089b7519 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コトハ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年6月13日 17時
