伍拾陸 ページ7
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『(彼は筋がいい気がする。彼は大丈夫そうだな。)』
『(女の子の剣士だ。どうなるかな?)』
『………』
「あ、あの……」
この短時間で何人か監視することができた。最初に見た彼は無事鬼に勝てていた。さて、これからどうなるだろうか。
あの女の子の剣士も癖が目立っているが、動きはよかった。今回も女の子の数は少ないと思うし、突破してくれるのを期待しよう。
そして鬼から距離を置いて助けた男の子の剣士。私に声をかけてくれたが、返事はしなかった。
これで仮に突破して任務が一緒になった時に声でバレてしまうのは避けたい。ごめんね、剣士君。本当は何か言ってあげたいけど難しいんだ。
『初日に真菰が最終選別に来ているか確認するのは難しいか……それに時間の件もある。今日はここまでにしておこう。』
初日の監視はこれで終了した。時間感覚はどうやら鋭いようで、元の場所に戻った時にはあと数分で半日が経っていたとのこと。
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最終選別五日目。
一度助けた子の服装を覚えていくのは案外難しい。羽織りを着ている子はわかりやすいけど全員羽織りを着ているわけじゃないから、途中まで監視してやっと思い出すこともある。
まさかここで記憶力を鍛えることになるとは。結構ありがたいけどね。
「水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き____」
『ぁ……この声は____』
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作者名:愛 | 作成日時:2023年5月25日 18時