伍拾参 ページ4
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「任務用の衣服を用意致しました。こちらのお面は歴代の虹柱様方が、特別な任務時のみにお使いになられていたものです。」
『……そ、そうなんですね。ありがとうございます。』
特別な任務時のみ……つまり虹柱のみに与えられた任務のことだろう。最終選別の監視と産屋敷一族の病の件以外にも特別な任務があることはお館様からお教えされている。
と、言っても片手で数えられないくらいだが。
『……思っていた以上に綺麗な状態ですね。歴代の虹柱様方が手入れなさっていたのですか?』
「左様でございます。お面をお使いになるのが年に数回ですから、基本的には当時の産屋敷当主様。もしくは私たち藤の花の家紋の家が僭越ながら手入れしております。」
このお面は大切に扱われていたんだ。でもよく見ると持ち手部分だけは少し古くなっていた。お面は藤の花と桜が主体となっていた。
「ではいってらっしゃいませ。ご武運を。」
『ありがとうございます。』
切り火もやって頂き、私は藤襲山へと向かった。まだ朝早いから藤襲山には最終選別が始まる数十分前に到着するだろう。
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作者名:愛 | 作成日時:2023年5月25日 18時