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「っげほ… ぐっ…」
「えっだ、大丈夫ですか!?」
慌てて彼の背中をさする
けほけほと咳き込みながら彼は笑いながら
だいじょぶ
と小さくつぶやいた
「どこがですか!まずはちゃんと呼吸してから言ってください」
俺は彼の手にある傾きかけているボトルを近くの棚へ移した
…
1分ほど背中をさする
彼は深呼吸してから 1拍置いて
「ありがとう」
と言った
「…いえ」
俺は彼の目を見られなかった
「そういえばさ、外雨だけど みんなもう室内練習してるの?」
「はい、もう各々グループ別で取り組んでいますよ」
「…あの特訓場?」
「みたい…ですね」
「うぇ〜…」
彼は気の抜けた声を上げた
「なんか嫌そうですね」
納得いかないという表情
「なら俺見てきますよ、監督にも明日人くんの目が覚めたと言う必要がありますし」
一選手として
彼はちょっと考えてから頷いた
「…なにか持ってきましょうか?行くついでです。今日は絶対安静でしょうし」
「えっいや 気にしないで」
両手を慌ただしく振る
…この人ほんとに年上かな
「じゃあ行ってきますね」
俺は扉に向かった
…
「あっ」
溢れ出たような音
「どうしました?」
カーテンから顔を出す、さっきと同じ様に
しかし、さっきとは違い彼は俺を見ていなかった
視線の先は窓 寒いのだろうか
「ねぇ一星…」
ゆっくりと言う 俺は はい と返す
「…灰崎、ここに来た?」
「…いいえ。」
「じゃあ、一星が運んでくれたのか…」
…
「ありがとう一星」
あいつの声だ …良かった目が覚めたのか
ほっと息をつく
むせる声が中からした
全身が強ばる
(なんで俺はこんなことしてんだ… さっさと中入って1発殴ってやりゃいい)
そう脳が促すが俺は動かなかった
…今の俺があいつを殴ったところで誤解が強まるだけだ
そう言い聞かせて呼吸と鼓動を整える
瞳を閉じて耳を澄ますと
あいつらの声がはっきり聞こえた
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作者名:Rein | 作成日時:2018年11月19日 3時