検索窓
今日:3 hit、昨日:34 hit、合計:38,898 hit

九: 忘れがちな存在 ページ9

「あはは‥」

苦笑いで取り繕うセイ
そんな彼の目の前を完全スルーして通りすぎる

『ハク、ちょっと行きたい所があるのよ
付き合って頂戴』

Aは あぶみに足をかけ軽々と馬に跨がった
その動きによって長い黒髪が ふわりと舞う

『ハク、早く』
Aがハクも乗るように催促する。
「はいよ」
ハクは返事一つでAの後ろに跨がった。
『ヨナ様 頑張って下さいね』
「う、うん」
Aに、緊張でカチコチに固まったヨナが
ぎこちなく頷いた。
「えっ‥何の話です?」

会話の内容が理解できずスウォンは困ったように尋ねるがヨナもAも意味ありげに笑うだけ
ハクは察したのか、あえて口に出さないでいる
ようだ。

「A様、俺のこと完全無視って‥‥ハク様と乗馬中って護衛いりますか?」
「このバカ!!姫様はハク様と二人きりがいい
理由を察してあげてよ」

『そもそもセイを従者に任命した覚えないし‥‥というか、ハクと二人きりがいいの。
だって‥‥‥』

Aは、感じる視線に口を閉ざした。
その場にいる一同から"何一人で話始めてるの?"という引き気味の視線を向けられていたからだ。
Aもセイのことを言えないらしい。

『さ、さあ行くわよ』

何か言いたげなスウォンとヨナをおいて
この雰囲気に耐えきれなくなったAは馬を
走らせた。

ハクはAの背後から手を回し、手綱を握る
Aの手と重ねる。

Aの手の上に乗せられたハクの手にドキリとする。自分の手の大きさを大幅に上回った男の人の手だ。
いつもよりハクの体温さえ感じられる程の近い距離というのも心臓を騒がせる原因の一つかも
しれない。

「なあA‥」

耳の側で囁かれたハクの言葉が特に優しいように思えた。またドキドキと心臓が早まる。

「A さっき何を言おうとしてたんだよ?」
『へっ‥!? あれは特に大したことじゃないよ?』

緊張から声が裏返ってしまう。これでは駄目だと、慌てて平然を装った。
ハクの声が怒ってるように聞こえるのは
気のせいだろうか。

「俺には大したことあるんだがなぁ?」

ギリッ‥ハクは重ねたAの手に力を込めた。
グキッ‥Aの手から何か嫌な音が
聞こえた気がした。

十: 見せたい景色→←八: 幼馴染みとの絆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
59人がお気に入り
設定タグ:暁のヨナ , 霊感少女 , 逆ハー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

深雪 - とても面白かったです!更新頑張ってください! (2018年6月5日 18時) (レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです!私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです!!これから頑張ってください。応援してます! (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです!頑張って下さいね!応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました!そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:小林春樹 | 作成日時:2016年2月27日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。