三十三: 失ったモノは ページ35
「___ッ！A！」
自分を呼ぶ声を聞き、Aの意識は
ゆっくりと覚醒していく
目を開くと、Aを心配する赤髪の主の
顔が目に映った
『ヨナ様こそ、ご無事ですか…？』
「ええ。Aが崖から転落した時に
守ってくれたから平気よ」
にこっ。ヨナはAを安心させるように
笑ってみせた。
けれど、ふと横切る違和感。
何かが違う。
目覚めたこの場所もそうだがAの
知らない“何か“がある気がしてヨナに違和感を口にする。
『崖…？…私とヨナ様達は風牙の都にいたのに、なんで……?』
「A、記憶が混乱しているのかしら？」
不思議そうに首を傾げるヨナ。
「テジュンとかいう奴に追い詰められて
崖から落ちたんだよ私達。で、姫様は
ヨナ姫様を庇って暫く気を失ってたの」
記憶が混乱していると思い、丁寧に解説して
くれるヒビキ。
壁に背を預けているセイも人の姿に戻した
覚えは無いのに、その姿を保っている。
おかしい。
Aは何度も、何度も、記憶を探る
カン・テジュン 北山 崖 転落
キーワードを思い浮かべるも全く思い出せない
風牙の都で目覚め、ハク、ヨナと話をした後の
記憶が無い。すべて。
その後、自分が何をしたのかさえ分からない。
Aだけ 一部、時間が空白に染まってしまっていた。
「う…うっ」
小さなうめき声がして何故か重く感じる体を
起こすと全身が傷だらけ、重傷を負っている
ハクの姿が。
痛々しい姿で寝かされている。
「ハク……」
「ハク様…」
駆け寄るヨナ、ヒビキ。
「まだ熱が高いね……」
ハクの額に手を添える少年。Aは
見知らぬ人物だ。けれどこの場にいるA以外の全員は知り合いなのか警戒心は無かった。
いつ、ハクがこんな怪我を負った?
ハクがこんな怪我を負うまで自分は何をして…
ぐるぐる渦巻く思考。
今の自分には分からないことだらけだ。
何故、どうして____それだけが頭を支配する
「あ、無事に起きたんですね！霊華姫様」
『誰、ですか?』
建物入り口付近、Aを知ってるらしい
優しそうな雰囲気の男の人がやって来た。
「A様、少し話をしよう。
神官様と、３人で。俺らはA様の疑問に
答えてやれる」
『え…神官、様…?』
セイに手を引かれAは建物から
外へと出た。
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
