第55話 ページ8
A side
「最近、昼休みは何してんの？」
『言ったでしょ。外にいるって』
本日二度目のこの質問。イライラしながら言葉を返す。
「だ、か、ら。何してんの？って話。日本語分かる？」
キャハハハ、と嘲笑うあかりの取り巻き。
すみませんね。あぁ。面倒くさい。
『別に散歩してるようなもんだよ』
と何事もないような顔をして、別の私を演じる。
「へ〜？私達から逃げてるの？」
もしかしたらそうかもしれない、な。でも、自ら思ったわけじゃなかった。始まりは私じゃない、から。
そう言ってしまえば、彼に全てを押し付けているようだ。…だから、少し思うだけにしておく。
『別に』
「そう…なんだか今日は随分と冷たいね？」
深堀しないのは嬉しいことだが、話が嫌な方向へと逸れた。
そうは言っても、普段からこのような態度だが。
もしかしたら、表情だったり、目線、声のトーンから、冷たさが伝わったのかもしれない。
「ま、そんなのどうでもいいけど。」
冷たさ、というのは、あかり達の態度などには、あまり通じないみたいだ。
「ねぇ、いつになったら消えてくれるの？」
お馴染みとなってしまった言葉。
しかし、今日は受け取った気持ちが、なんだか違う。
それは、私の気持ちからなのか。はたまたあかり達の気持ちからなのか。
『………。さぁね』
沈黙を貫き通そうと思ったが、少しだけ反論してみることにした。
「そう、消える気ないんだ。じゃあもっと酷いことしてもいいよねー」
どうやら彼女達にも、いじめをしている、酷いことをしている、というった自覚はあるようだ。
…自覚があるのならやめてほしい。
『っ…』
全員からの総攻撃。物理的だから、なかなかに痛い。
…回復魔法持っていたらなぁ。と思った瞬間。
あかりが何やら詠唱を始めた。…まずい。
時間がかかっているあたり、だいぶ凝っているようだ。
それならば、この力で。
出来る限りの防御をしてみようじゃないか。
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作者名：玲華 | 作成日時：2020年7月20日 0時
