気遣い? ページ31
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くだらない記憶が脳裏を走った。
ふと戻って来た時には、ギルガメッシュが怪訝な顔をして私を見ていた。
『……何?』
「戯け。勝手に硬直状態に入ったのは貴様であろうが。」
『…ああ、そう。ごめんなさい。』
頭が痛い。
吐き気がする。
メモリーが反転する感覚に三半規管が悲鳴を上げる。
本当に愚かだった。
この力は私には余るものだから使わないようにしていたのに、こんなにもあっさりやらかした。
お蔭で精神は酷い混乱状態に陥っている。
正直、立つのも億劫になるほど。
「……貴様の過去に我は全く興味が無い。」
ギルガメッシュの言葉に、少しほっとした。
こんなにも愚かな人間についてなど、この男には視てほしくなかった。
「…だが真彩よ。我は今のお前には興味があるぞ。」
その言葉に、私の頭は真っ白になった。
突然どうしたというのだ。
ギルガメッシュが私に、特定の人に興味?
何故?
『……まさか、私の力のせいで頭がおかしく――?』
「ハッ、我があれしきの事でどうにかなるだと?戯けた事を言うな、戯け。」
『じゃ、じゃあ…何で?』
「……貴様の力は面白い。人の業を体現した様な浅ましい力。…我はそれをもっと見てみたい。」
絶句した。
この男は、自分があのような目に遭っておいてなお、
この力を面白いと、見てみたいと、本気で言っている。
きっと今の私の表情は恐ろしい程間抜けだっただろう。
正直、理解できなかった。
何故そうなる。
何がそうさせた。
聞きたいことが浮かんでは消え、弾ける。
「真彩よ。我は何故時臣の元で学ぶかを問うたが、それはもう忘れよ。
それよりも、我は貴様の先に興味がある故な。」
そう言うと、ギルガメッシュは愉快そうに目を細める。
いつもの品定めをするような、玩具を見ているような、そういう目。
だが私は今の言葉の中で違和感を覚えた。
"それはもう忘れよ"
とこの男は言った。
その言葉に、私は不思議と気遣いを感じたのだ。
先程の私の様子を見て、これ以上聞くのを止めてくれたのではないか。
そんな風に思ったのだ。
気のせいだとは思うが、それでも少し嬉しかった。
「?何だ、我の顔に何かついているのか」
『…いや、別に…。』
どこかで聞いた言葉と表情に、不思議と笑みが浮かんだ。
やはりこの男から逃げるのは無理のようだ。
少しだけなら、きっと…
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時