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陽炎 ページ25






暖かい




本能的にそう感じた




「――――い、起きろ」




その一言で目が覚める






目の前に立つのは、僕が唯一


この世界で唯一


――する親友だ





いつもと変わらない凛々しい姿のまま


彼は僕に手を差し伸べる


そして僕もその手を取る






「何だ、疲れているのか?」


「ああ、そうかもしれないね」


「フフッ……何を言うか。先程の探索であんなにもはしゃいでいたというのに?」



そう言って笑う彼の顔を僕はじっと見つめる



嗚呼、何て強く美しい友なのだろう、と




「?何だ、我の顔に何かついているのか」



きょとんとしつつ、手で顔を触る親友に


思わず笑みが浮かぶ




「何だ何だ、何故笑うのか」




拗ねた子供の様な顔をする


本当に不思議な人間だ


誰よりも強く、誰よりも誇り高いにも拘らず


誰よりも我儘で、誰よりも脆い




「何でもないさ、ギル。ただ、暖かかっただけ」

「………そうか」




彼には何かに納得したように目を細めた

僕にはわからない、が

彼には視えてしまう


そのせいなのか、違うのか

彼は僕の言葉を理解してくれる





「そんな陰気な顔をするな。こちらまで憂鬱になるだろう」

「悪いね、ギル」

「…………ふむ、ならば一昨日の決着をつけるか?」

「ああ……そうだね、そうしよう」




すると、彼はにこやかにだが何処か腹に一物ありげに笑う


こういう顔の時は、本当に心から楽しんでいる時だと最近学んだ


彼は僕との殺し合い(遊び)を本気で楽しむ


一切の迷いも、躊躇もない


親友だからこそ、容赦はしない


お互いの力を認め、敬い、そして礼を尽くしきる





それが僕と彼の関係











「ねえ、ギル」

「何だ?」



「……明日は雨が降りそうだね」

「それは良い事だ。此の頃の干ばつ故、国にとっては祭り事であろうよ」

「……そうだね、ああ、本当にそうだね……」











僕は雨が嫌いだ


雨は恵みをもたらす命の水だ




だが同時に恐ろしい




この体を雨が伝う瞬間


僕の身体は溶けて無くなってしまうのではないか



それが恐ろしい









「案ずるな」

「…え?」



唐突に思考を遮られた



「お前は消えぬぞ、我がいる限りな」

「…」



「だから、安心して我の隣にいろ






 エルキドゥ」













嗚呼、彼は視てなどいなかった





ただ僕の心を理解してくれている





永遠の友だった




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設定タグ:Fate/Zero , ギルガメッシュ , 英雄王   
作品ジャンル:恋愛
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時

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