加虐心 ページ23
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『……ハァ…ハァッ……な、何なの!?』
乱された息を整え、口から出たのは本音だった。
困惑、ひたすらに困惑した。
「…何だ、何をそんなに焦っている。」
『…なっ…、当たり前でしょう!?突然あんな事……』
「ほう?あんな事とはどんな事だ?」
私の言葉に、ギルガメッシュは面白いものでも見ているような目で
さらに顔を近づけてきた。
『…あんな事って…その……あの………』
あまりの動揺に、思わず口ごもる。
「…ふ…はははははっ…!!そうか、恥じらいを見せるか!良い、良い!益々貴様に興味が出てきたぞ、真彩!」
そしてギルガメッシュに大笑いされたことで、完全に言葉を失った。
確かに、この男がおかしいのはずっと前から分かっていた。
分かっていたけれども、これはおかしすぎる。
奇行にも程がある。
何故笑える。
何故動じない。
この男にとって、女に対する口づけなど取るに足らない当たり前の事だと言うのか。
そう思った瞬間、今までの感情はすべて吹き飛んだ。
恥じらいの様なものも一切無い。
この男は普段から自分が有利だと思っている。
今日の様な制限を受けても、その態度が変わる事は無かった。
なら
誰もが、例えこの男だとしても
予想しない行動を取れば
どうなる?
その時抱いた感情は、私の中で初めて生まれた――
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突然無言になった私をやがて不審に思ったのか、ギルガメッシュは眉をひそめる。
「…何だ、喚き散らしたと思えば黙りおって。忙しない奴め。」
私の心は決まっていた。
死ぬことになろうが構わない。
今はこの男を、英雄王ギルガメッシュを……
「…おい――」
ギルガメッシュが動かなくなった私に手を伸ばす。
だがその手が私の肩を掴む事は無い。
「…ガッ……!?」
次の瞬間、ギルガメッシュの脳天は教室の床に叩きつけられていた。
何も受け身をとっていなかった為、脳に直接衝撃が響く。
流石のサーヴァントもこの肉体損傷は想定外だっただろう。
案の定、あのギルガメッシュでさえも未だ動けずにいる。
「……っぁ……き、さま……!!」
朦朧としている状態で睨み付けられようとも、痛くも痒くも無い。
倒れこんだ男にゆっくりと近づき観察する。
痛みで目を潤ませ、それでもなお怒りを表そうとする気高さ。
王としての自尊心の塊。
そうだ、
まだ
この男の全てを
壊せていない。
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時