王とは ページ11
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私はその声の主を知っていた。
((……ケイネス・エルメロイ・アーチボルト……時計塔の魔術師……))
所謂エリート中のエリート。
厄介な相手だ。
どうやらライダーのマスターは彼から聖遺物を盗んだらしい。
そこまでしてこの殺し合いに参加したかったのかと、軽い呆れを覚えた時、
ライダーの口が開いた。
「余のマスターたる男は、余と戦場を馳せる勇者でなくてはならない!」
そう言い放ったライダーの態度は、一見してギルガメッシュと似た雰囲気を感じた。
だが、決定的に違う。
ライダーは真に民を信じ、民と共に生き、野望の果てに散った王だったのだろう。
その物腰、態度で何となくわかる。
一方ギルガメッシュは民を信じる事無く、民と共に生きず、ただ民を統一した王。
そして、何より彼は人間に対する傍観者だった。
態度がでかい事は等しいが、根本は全くもって別物なのだ。
時代によって、理想とされる王の姿は異なる。
その場に並ぶ、騎士王の様に。
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そうしみじみと思っていた時だった。
「……闇夜に紛れ姿を隠した者どもよ!!今もってその身を現すがよい!なおも顔見せに応じぬ臆病者は、このイスカンダルの侮蔑を免れんものとする!!」
冬木の冷えた夜空に響き渡ったライダーの声に呼応するように、魔力が歪む。
やはりだ、あの王は煽り耐性が低すぎる。
姿を現してしまった金色の甲冑に身を包んだ男は、ライダーを睨み付ける。
「我の他に王を名乗る不埒者が、一夜に二匹も湧くとはな。」
不機嫌オーラを纏ったギルガメッシュの魔力は徐々にだが強まっていた。
((……こんな時に宝具をさらせば…師の思惑は崩れる……))
とはいえ、私に止める手段などない。
飛び出しでもすれば、余計状況を悪化させる。
「そこまで言うなら、まず名乗りを上げたらどうだ。」
「問をかけるか、雑種風情が、王たるこの我に向けて!」
理不尽に街灯にひびが入れられる。
「我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を見知らぬと申すなら、そんな蒙昧生かしておく価値すらない!!」
同時に宙に現れたゲート・オブ・バビロンの剣。
金色に輝くそれは、暗い空間の中ではより一層異質なものに見えてくる。
しかし、それを不覚にも
美しいと感じてしまった。
((………やっぱり、私…おかしい………))
そう思い、自分の胸に手を当てる。
この妙な高揚感は、知らない。
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時