22人目の賢者の魔法使い2【魔法使いの約束】 (ページ6)

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55話ページ6

シャイロック「私はどんな欲望も愛していますが、あまりに無粋で、怠惰で、想像力に乏しい」

まあ結局この魔法科学に関しても、どうせ魔法使いがいつか犠牲を払わないといけなくなるだろうしね

マナ石は魔法生物か魔法使い、魔女たちからしか取れないんだから

カイン「あんたの考え方は面白いな。人間が魔法を使うのが嫌なんじゃなくて、美意識として嫌なのか」

シャイロック「私は酒場の主ですから。美酒は誘惑します。美酒だけでなく、この世のありとあらゆる快楽に、蛇のような誘惑が潜んでいる。その誘惑は強力な魔法のように、人の心を絡め取っていきます。
だからこそ、制度というものが美しい。どんな美女の誘惑にも耳を貸さない、聖職者の苦悩のように、快楽の前の理性が最も官能的でしょう？」

カイン「……同意するかどうかは別として……。あんたが話し始めると、王宮の広間が、夜のラウンジの空気になるな……」

シャイロック「節度も理性も手放した快楽には、葛藤がありません。葛藤がないものには深みがない。深みがないものは、味気がない。魔法科学は安酒のように、多くの人々を酔わせていくでしょうが……。いずれ、この世界が経験したことのない、最悪な二日酔いを起こさせますよ」

「…………」

誰だあいつ

ものすごくシャイロックを睨んでるように見えるけど

アーサー「ヴィンセント叔父上。ようこそ、お越しくださいました」

ヴィンセント「例年通り、にぎやかでなによりだ。例年通りに＜大いなる厄災＞を撃退出来ず、多くの犠牲を出したというのに」

アーサー「それは……」

ヴィンセント「わかっている。祝いの席だ。これ以上の言及はしない」

アーサー「……はい……」

この後に及んでまだ言うか

こちらも１０人の魔法使いたちを失ったっていうのに

ニコラス「魔法科学省所属の特殊部隊。魔法科学兵団団長のニコラスと申します」

アーサー「知っている。元騎士団隊長で、西の国で魔法科学の技術を習得して、数か月前に戻ってきたのだったな」

ニコラス「お見知りおきいただいて光栄です。我々、魔法科学兵団がいれば、今後、賢者の魔法使いなど不要でしょう」