【d!】戦場の天使には愛がない Ⅱ【軍パロ】 (ページ7)

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戦争はこの国の勝利に終わった。

あのまま敵拠点に乗り込んでいったシャオロンと遅れて到着したショッピ、鬱、他部隊によってそのまま拠点が陥落し、敗走を続けていたa国は流石に白旗を揚げた。

そして事後処理に追われる幹部の元に軍医であるしんぺい神から一つの連絡があった。

それは幹部皆がずっと気掛かりだった一人の少女について。

「……皆、Aちゃんが目、覚ましたよ」

＊＊＊

ぱち、と目を覚ますと視界に広がるのは天井だった。
酷く重い身体、視界の端に映る点滴。少しずつ戻ってきた聴力がこの空間に何人もいたことを知らせて、驚く。

首をひねろうにもほとんど動かなくて、枕との衣擦れの音がしただけだった。

しかしそれも目敏く見つけてくれたのか、随分と久しぶりに感じる彼らの声が私の名前を呼んだ。

「A！！！」

はい、と応えようとしたが声が喉に張り付いて出なかった。
それを察してくれたのか誰かが私の手をぎゅ、と握る。

「……A……生きててくれて良かった……」

シャオロンさんだった。

そっか、私が連れ去られたあの時いたもんな。

切実な声に少し申し訳なくなって、握られた手に力を入れて握り返す。
はっと息を飲んだ彼は、助けれんくてごめん、と弱々しく呟いた。

そんなことない、と伝えたくてがさがさの声だったが絞り出す。

『…………いま、たすかって、ます』
「……ふ、ありがとうな」

彼だけでなくたくさんの声が聞こえるが、生憎聞き分ける元気も余裕もなかった。

そしてさっきから明確に感じていることが一つ。

(……なんだろう、助かって、生きてて良かった、ってどうしても思えない……)

恐らくここにいるのは幹部様らで、私が助かって良かったという旨の言葉を投げかけてくれており、声音的に本気で私の無事を喜んでくれているのだが、どうしてもその温かさを受け取ろうと思えない。
目に映るシャオロンさんの笑みは、私には眩しすぎる。

……何なら、あのままいっそ死んでしまっても良かったのに、なんて。